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二四年四月の3つのお題140
診断メーカー「小説で使いやすいかもしれないフリーお題メーカー」より、二〇二四年四月にTwitter上で掲載した140字小説です。
お題は「痩せ馬の航路/或海兵の献身/隔つ潮騒」。
●痩せ馬の航路
痩せ馬のようなその男は、行商を生業としていた。押し潰されそうな大荷物を背負い、赤い大地を渡る。
ぎらつく陽光が照り返す大地。水を口に含んだ男の目は、過酷な労働を強いられた家畜のように濁っている。
地平に霞む街はまだ遠い。男は黙って歩を進める。背中の荷物が軽くなることを夢見て。
●或海兵の献身
レイナルドには、声を喪った幼馴染の女がいる。友と手を尽くすも、彼女の声は戻らなかった。
友は、さらなる手段を求めて海賊になった。
レイナルドは、彼を止めるため海兵になった。
「嘘を吐け。お前はあいつを自分のものにしたいだけだ」
レイナルドは剣を振る。この友情を何故彼は理解しないのか。
●隔つ潮騒
バルコニーに出たその女は、銃をエリアスに突きつけた。銃口が月明かりを弾く。足下を流れる潮騒は、場違いにも穏やかだ。
「戻りましょう」
エリアスの呼びかけに、女は首を横に振った。
「私たちの道は分かたれています」
艶やかなドレスが翻る。彼女は欄干から身を乗り出し、暗い海に飛び込んだ。
遅筆作家の即興小説練習帖 森陰五十鈴 @morisuzu
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