北の森の悪魔
「さて、早速経験値稼ぎにでも行きたいところではあるがそれより先にやらなきゃいけないことがある。キュランは分かるか?」
「キュ!」
「そうかそうか!キュランは賢いなぁ!その通り!まずは物資を買い集めるところからだよな!」
絆の力で会話が可能に!なんてことはもちろん無い。ただの親バカである。
「てことで、最初はポーションからだな。幸い金ならたんまりあるし、買えるだけ買っとくか。」
ラックブレイドは一つ100ポトのポーションを100個買った。ちなみにではあるが、
1ポト=100円 くらいの価値だと考えて頂いて構わない。
何が言いたいかというと、このポーション実はかなりの高級品である。まぁ、
「ふむ、いい買い物ができたな。次は装備……はもらってたな。アホみたいな性能のやつ。あと必要なものは…思い浮かばんな。良し!狩り行くか!」
「キュゥ!」
「えっと、掲示板の情報によると北はモンスターがアホみたいに強いらしいな。ほーん?南の第二エリアの敵をソロで倒せるやつでも刃が立たなかったのか。第二エリア開放するの早くね?敵弱いのか?俺が気づかなかったてことは戦闘中でワールドアナウンス聞き逃したっぽいな。ま、とりあえず北に行ってみるかね。よっぽど強ければ引き返せばいいしな。キュランも頼りにしてるぞ?」
「キュ!」
可愛すぎるな(真顔)
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「さて、北の敵は…」
「ヴァァウッ!!!」
狼だった。高さ2mくらいの。
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種族:ウルフ・ザ・ストロング
でかい。速い。それすなわち強い。
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「適当すぎるだろ!いやたしかに強そうだけどさぁ。」
無駄口を叩いていると、問答無用とばかりに狼が飛びかかってきた。
俺は杖で突撃をいなした。いくらスキルでDEFが爆増しているとはいえ、ダメージをくらわないに越したことはないのだ。
「にしても、掲示板には目で追えないほど早い動きで瞬殺されたって書いてあったけど、俺は普通に見えるな。なんなら思いの外遅いまである。」
これは別にステータスが高い云々の話ではなく、動体視力の問題である。パッシブスキルを無効化してはいるが、この狼のパッシブは戦闘には直接関係しないので今はおいておこう。
このゲームの仕様として、もともとの動体視力にSPDの値の分だけブーストがかかるという物がある。そしてこの男、父からのプレゼントである『鬼畜杖術のススメ』を全クリしているのである。これがどのくらいヤバイのかはこの杖術のAIに杖術日本一が負けている、と言えば想像がつくだろうか?何が言いたいかというとコイツ、メッチャ、ツヨイ。
「ふむ、これなら経験値稼ぎできそうだな。」
俺は、諦めずに飛びかかってくる狼を避けると、その土手っ腹に杖を叩き込んだ。狼は破裂した。
「……why?」
「キュッ!?」
この男、神杖ヘカのSTR補正を完全に忘れていたのだ。
それに加えて《原初の杖術》のパッシブまで悪さをしていた。
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《原初の杖術》
杖術への理解度によって威力が上がる。最高300%
・突き
突きを伴う動作に補正がかかる。
・払い
払いを伴う動作に補正がかかる。
・打ち
打ちを伴う動作に補正がかかる。
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この効果はよっぽど杖術に造詣が深くないと意味がないが、ラックブレイドはそのよっぽどである。
その結果、いくら強いとはいえ始まりの街の北にいる雑魚敵の耐久力では明らかに耐えられない威力の打撃が叩き込まれてしまった。R.I.P.狼さん。
「うわぁ、メッチャ申し訳なくなってきた…まぁ狩りはやめないけど。」
北の森に悲しげな遠吠えが響いた。
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「お?メッチャ失礼なこと言われた気がする…」
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《北の森の悪魔》
ヤツが来た。王を呼べ!我らの憎しみを形にするのだ!
北の森のモンスターにダメージ
北の森のモンスターからのヘイト
ユニークボスが出現する《一回限定》
ユニークボスに敗北した場合この称号は剥奪され二度と取得できない
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「面白くなってきたなぁ!おい!正直物足りなかったんだ!」
「キュッ!!!」
「おっ!キュランもやる気か〜!一緒に倒そうな!」
「がんばる!」
「可愛い声だなぁ……ってキュランが喋った!?」
「あるじ!」
「カワッッッ……!!!!」
神は死んだ。(尊死)
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