第10話 インボイスは国が益税を得る!!

 消費税は作られた当初から一つのことが問題視されている。そう、聞いたことくらいはあるかもしれないが、益税問題だ。


 とは言え、前回話したように、実は益税などはそれ程大きい話にはならないと思う。なんと言っても、日本は中小企業がほとんどな割に、経済規模は大企業がほとんどを占めているのだから。


 こんな瑣末な問題をどうにかしようなんて弱いものいじめとも言える。副業を進める国としては副業でできる程度の事業にはもっと優遇しても良いくらいだ。


 と、いかん、話が逸れてしまったね。本題に戻ろう。インボイス制度によってなぜ国が益税を得ることになるのか?


 まずは簡単に前回までの復習をしてみよう。

 お店Aは一般国民であるお客さんから預かった消費税100円から仕入れ先Bにお店Aが支払った70円を控除した30円を、

 仕入れ先Bは、お店Aから預かった70円から事業者Cに支払った30円を控除した40円を、

 事業者Cは、仕入れ先Bから預かった30円を、

 それぞれ国に収めることになるんだったよね。


 しかし、インボイス制度が導入されるとどうなるか。例えば仕入れ先Bがインボイスの発行できる登録(適格課税事業者)をしてなかったとしよう。しかし、仕入れ先Bは売上1,000万円を超えているために消費税を納税する義務があるものとする。そうするとどうなるのか。


 実はこの場合影響を受けるのはお店Aだ。仕入れ先Bがインボイスを発行できないとどうなるか。お店Aは消費税を納税する時に仕入れ先Bへ支払った70円を控除することができなくなる。この場合、それぞれの消費税納税額は次のようになる。


A 100円

B 40円

C 30円

合計 170円


 本来の消費税はお店Aで商品を一般国民が購入した時に払った100円だけが国に収められるのが消費税の仕組みであるはずである。しかし、インボイスが導入されると、中間業者の仕入れ先Bが納めるべき40円が二重に国に納められるのみならず、なんと事業者Cが納めるべき30円も二重に国に納められることになる。


 つまり、国がこの分70円の益税を得ることになるのだ。


 確かに仕入れ先Bがインボイスの発行できる手続きを取れば良いだけと言う考え方もあるだろう。しかし、仕入れ先Bが免税事業者であるならば、法律上、そもそも仕入れ先Bは消費税を国に納めなくて良いことになっている。


 その分を国はお店Aに負担させるのみならず、事業者Cが納めるべき消費税をお店Aに二重に払わせようと言うのが、このインボイス制度なのだ。


 これは小規模事業者が少しばかり得る益税の比ではない。


 果たしてこんなことを許してしまって良いのであろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る