第7話 消費税と家計支出と景気

 いま、世界中で経済の後退局面に直面している。その中で日本はバブル崩壊以降、今に至るまでにも経済が成長していたとは言い難い。給料が増えないと言われ続けているしね。


 日本は平成に入るまで、高度経済成長からバブルに至った。そしてバブルは弾けた。


 人口増加は需要を増やす。そして日本の高度成長期は、所謂いわゆる団塊の世代と言われる第一次ベビーブーマー達が働き盛りの時期だ。そりゃ、景気は自然に拡大するわ。


 しかし、バブルは早々に崩壊した。消費税の導入とともに。その後、日本には高度経済成長は訪れなかった。第二次ベビーブーマーがあったにもかかわらずね。


 さて、そんな景気後退には、幾つもの要因があるだろうけど、その一つに消費税があるのは間違い無い。


 そもそも税金にはいくつかの役割があるけど、大きな役割の一つに景気の調整がある。どの税金もそうだけど、基本的に税金を高くすると景気は後退しやすく、安くすれば景気は良くなりやすい。そして、数ある税金の中でも景気へのインパクトが大きいのは消費税だ。


 物の値段が上がれば需要が後退すると言う話は既にしたよね。消費税は強制的に物の値段を上げる効果がある。つまり消費税は景気を後退させる効果があるんだ。家計の支出という面で考えれば、払うお金が税金だろうが物の価格であろうが関係ない。支出の総額が増えれば買える物が減ってしまうのだから。つまり、消費税は金持ちも貧乏人も、高所得者も低所得者も等しく負担が増える。累進課税の所得税なら金持ちの負担が増えるだけなのにね。そして増えた負担は低所得者の負担が大きくなる。


 日本は増大する予算を確保すると言う名目で、消費税を上げ続けてきた。つまり、その度に景気は潜在的に後退してきたのだ。消費税は景気の加熱を抑制するために増税し、景気の後退を緩和したり、景気を拡大するために減税するのが基本だ。


 しかし、今の政府には世界的な景気後退局面の中、他国とは違い消費税の廃止はおろか、減税すら考えていないらしい。世の中が混乱するとか訳のわからない理由を挙げて。


 結果、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏になってきたと言っても過言ではないと思う。


 では、なぜ消費税は下げられないのか? 幾つも理由はあるが、その一つは消費税が安定した財源と言われていることだ。財源と言えば財務省。最強官庁と言われる財務省としては安定財源を逃したくない、逃せば利権の減少につながる。そうなると発言力、つまり官僚としての権力が減る。それは避けたいので何としても消費税を手放さないために、あることないこと世の中に消費税の必要性ばかりを吹聴しているのだ。

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