第3話 実は円高が日本を救っていた?

 でも、「円安が良い」といわれていたのは昭和~バブルのころまで。そのころまでは日本の会社は日本にいたから。でも、今は日本の企業が海外進出している。だから、海外で物を買って、よい製品を海外で作って、海外で物を売るから、そう言う大企業にとっては、為替レートなんてそんなに大きな意味を持たないんだ。


 そこで、もう一つ不思議なことがあるんだよね。日本の国内経済が30年も下がり調子もしくはほぼ横ばいだという話もよく聞くでしょ? それでも世の中は「固定電話 → 携帯電話 → スマホ 」とか「マニュアル自動車 → オートマ車 → ハイブリット車 → 電気自動車」、「手書き → ワープロ → メール」、「フィルムカメラ → ポラロイドカメラ → デジカメ → スマホ」と言うように世の中自体は確実に便利なものが増え、豊かにはなっている。ほかにもいろんなものが良くなっている。よくわからない人は近くの大人にどんなものが便利になったか聞いてみよう。両親や祖父母じいちゃんばあちゃんでもいいけど。


 物質的に豊かになれば、その分お金がかかるのは当然だよね。でも、日本人の国民一人当たりの所得は横ばいか下がり続けているらしいよ。外国はどんどん国民一人当たりの所得が増えている中、日本だけだな。


 これは、偉い学者さんとかは誰も行っているのを聞いたことがない、矢指の考えだけど、給料が増えなくても世の中の進歩に日本人がついていけた理由、それこそが今までバブル崩壊以降上がり続けていた為替相場、そう、円高のおかげだと考えている。


 日本は円高によって、諸外国とは逆に給料が増えなくても購買力が上昇していたんだよ。思い出してみて。さっき書いた通り、円高になれば、その分外国から輸入するときには安く(又は多くの)ものが買えるわけさ。日本はこの30年、デフレと言われてきたけど、実はそうじゃないかもしれない。だって、日本国内で売られているものの多くは製品であれ、原料であれ、肥料であれ、食材であれ、多くのものは外国から輸入している。輸入品が関係していないものなんて無いくらいに。だから、円高とともに日本国内のモノの値段は下がり続けていたんだ。給料が上がらない代わりに。


 つまり、給料が上がらなくてもデフレによって実質的な購買力が上がっていたんだ。日本は給料が上がらなくても、モノの値段が下がっていたから、実質的に給料が増えているのと同じ状態を維持できていたんだね。


 しかし、ここへ来て、円安が急激に進んだ。もちろん給料は急激には増えない。


 あれ? 円安の問題点はわかったけど、なんで円安になっているんだ?

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