3−3 三人のバトル
緋翠が
ヒョウが気が付く間も無い一瞬の出来事だった。‥‥バイクは吸い込まれるようにその男に近づくと━━光紫は有無を言わずに鋭い眼差しで、手にしている刃のようなものを振ったのだ。
ヒョウは紫色の光を見た‥‥!
「うわぁああーー!」
咄嗟に紫の光から逸れたバイクは転倒してしまい、放り出された二人は横滑りしながら道路脇の地面へと転げ落ちる。
「‥うぅ‥緋翠‥‥」
ヒョウは体の痛みを感じながらも足を引きずり、緋翠の側に行くと心配そうに声をかけた。
「‥‥ヒョウ」
ヒョウの声で体を起こした緋翠はヘルメットを外して顔を上げる。
すると‥‥二人の男が近づいて来るのに気が付く。
冷めた目の男と、野獣のような目の男は、怯えている少年の隣で座り込んでいる女に言った。
「━━緋翠」
「緋翠」が立ち上がり「碧娥」と「光紫」の三人は互いに間合いを開けて向き合う。
彼らの間に暫く沈黙があったが、初めに碧娥が口を開いた。
「またお前に会えるとはな」
敵対視しつつ、どこか懐かしいような目で見ている彼らにヒョウは思った。
三人とも知り合いだったのか?
‥‥じゃあ、何で二人は緋翠に攻撃したんだ。
「そうね。お互い生きているとは思わなかったわ」
あっけらかんと言う緋翠に碧娥はふっ、と忘却の目で彼女を見た。
「もっともお前は目的が違うだろうが」
「‥‥‥」
緋翠はそう言われて最初は茫然としていたが、ふと何かを思い出すと、燃えるような瞳に変わる。
「しかし俺たちはもう、違う。我らが生きる道はただ一つだ」
光紫は物静かだが激しい感情を緋翠に向け、再び
「じゃあプチ同窓会でも始めようかしら!」
次の瞬間、手に持った
緋翠が大きく振り投げた
攻撃を躱された緋翠は一旦引き戻し、再度一振りした
そんな光景に、ヒョウは訳も解らず思わず叫んだ。
「緋翠ー!」
目線を防ぐように構えた
緋翠はそれを追うように走り、
その一振りで
緋翠に光紫が斬りかかり、別の方向から碧娥も拳を撃ってきた。
「緋翠ーー!」
そうじゃない、今戦うのはそこじゃ無いだろ!
何度呼んでも彼らにヒョウの声は届かなかった。
緋翠は前後に挟まれながら
それと同時に彼の体を壁のように蹴った。
跳んだ刹那、光紫に向かうと
二人の体から。爪痕を受けたように血が噴き出した。刻まれた服から痛みを感じたが、その時背後から爆音が響いた。
「!!」
緋翠が一瞬怯んだ隙に、爆風が彼女を襲う。
それと同時に雷鳴が響き、
緋翠は
その破壊力で周囲の建物は壊れ崩れ落ち、火が燃え上がった瓦礫から幾つもの小さな竜巻火が出来てそれを
だが、紫の光は真上にきらめいていた。
緋翠が上を見ると、光紫が天空へ空高く跳んでいる。
空中で
赤い炎が走り、光紫を襲った。
「がああぁっ!!」
大気が蠢き、『氣』を込めた碧娥は野獣のような声を発しながら、緋翠目掛けて
「はぁっっ!!」
風が荒れると緋翠の
その攻撃を受けて体から血が噴き出す碧娥。
それでもまだ闘い続けようとする三人に向かって、その時ヒョウが走ってきた。
「緋翠ぃい!!!」
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