最強の家庭菜園ダンジョン~最強のダンジョンとは準備期間のダンジョンだ。入口がなければ攻略出来ない。俺のダンジョンは永遠に準備が終わらない。畑に終りなんてないからな~
最終話 判決と、プロポーズと、イチジクのケーキ
最終話 判決と、プロポーズと、イチジクのケーキ
今日は10月17日、裁判の判決が出る日だ。
「これから判決を言い渡しますので、被告人は、証言台の前に立って下さい」
と裁判長が言う。
俺ははいと返事して証言台の前に立った。
「被告人は無罪」
終わったな。
俺は一礼した。
裁判が終わり、裁判所の前に出ると、フラッシュが焚かれた。
そこで俺は一礼して、車に乗り込んだ。
「俺と結婚してくれるか?」
助手席にいる才華に俺は聞いた。
「いやよ」
がーん、無罪になった罪がこれなのか。
裁判が終わったら結婚するんだと考えた死亡フラグは、最初から折れていたのか。
場所が悪かっただけだよな。
車の中ってのはムードがない。
レストランを予約して切り出すべきだったか。
「ごめん、プロポーズの場所が不味かったか。でも聞いてくれ。裁判が終わったらプロポーズするつもりだったんだ。その気持ちが抑えきれない」
「あのね。私は束縛が嫌いなの。一生結婚はしないわ」
「そんな」
「報告があるわ。私、赤ちゃんが出来たの」
えー。
俺は急ブレーキを踏んだ。
「本当か?」
「本当よ。産婦人科にも行ってきたわ」
「それなのに結婚しないの」
後続車がクラクションを鳴らす。
「うるさい! こっちは子供が出来たんだ!」
俺は窓を開けて怒鳴った。
「悪い悪い。で何で?」
「さっきも言ったでしょ束縛が嫌いなの。子供を育てるお金ならあるわ。結婚する理由がないのよ」
良くないが、まあ良いか。
仕方ない。
才華だもの。
彼女らしいと言えばらしい。
俺は車を再び走らせた。
「籍はいれなくいいから、結婚式だけしよう」
「それなら良いわ」
「良かった友達とか呼べる」
「式の名前は婚約式にして」
「そうするよ」
さあ、帰ったらお祝いだ。
今日は何を作ろう。
イチジクが畑で採れたから、ケーキを作ろう。
出来るかな。
ケーキなんか焼いた事が無いので失敗するに決まっている。
なので市販のスポンジケーキと生クリームを買う。
後は盛り付けるだけだ。
スポンジケーキを輪切りにして、砂糖を加えた生クリームを塗る。
畑で採れたイチジクの皮を剥いて、輪切りして並べた。
クリームを塗る。
スポンジケーキを被せる。
生クリームを塗る。
縦に切った皮を剥いたイチジクを飾り付ける。
よし完成だ。
「才華、お祝いしよう。婚約祝いだ。婚約指輪はすぐに手に入れるよ。幸い、ネット通販が絶好調なんだ」
「無理しなくていいのよ。どうせ指輪はしないし」
「えっしないの」
「実験の邪魔だから。金属が駄目な実験とかもあるのよ。外し忘れると厄介だから」
「とにかく、ケーキを食おう」
イチジクのケーキは美味かった。
今なら何を食っても美味いだろう。
子供が出来た喜びをかみしめる。
叫びたい気分だ。
そうだ。
エイザークとクルームとユークスに報告に行こう。
エイザークの所に繋ぐ。
「俺は父親になりそうだ。まだ子供の性別は分からないけどな」
「おめでとうを言わせてくれ。ドワーフの風習では子供に作った道具を渡す。何が良い」
「災難を回避する魔石はあるか」
「危機察知だな」
「あるのか。それを首飾りに掛けてくれ」
「任せろ」
今度はクルームの所に行った。
「子供が出来たんだ」
「それはめでたい。我らは子供が出来にくい種族なんだ。子供の誕生は盛大に祝う」
「エルフの風習はなんかあるのか?」
「樹を植える。樹のように真っ直ぐに育つ事を願ってな」
「分かった俺も畑に何か樹を植えよう」
今、植えてあるのは梅とイチジクだ。
柿が欲しいと思ってた。
子供が産まれたら柿の木を植えよう。
ユークスの所に行った。
「俺、子供が産まれるんだ」
「おめでとう」
「ここらの風習で子供に物を贈ったりしないのか」
「子供が産まれたら、短剣を贈るんだ。魔除けだよ」
「物騒だな」
「切れない剣だよ。儀礼剣って奴」
「飾りの剣か。何かエイザークに付与して貰おう」
何が良いかな。
後で考えておこう。
「才華、産まれてくる子供の名前は決めた?」
「ええ、
「男の子なのか」
「検査ではそう出ているわ」
「
そうか、男の子か。
飾りの短剣は恰好良いのにしよう。
そうだ、短剣の付与は早く走れる魔法にしよう。
シュンと言えば、駿とか瞬もあるからな。
使わないかもしれないけど、気持ちの問題だ
-完-
――――――――――――――――――――――――
あとがき
本当はもっと続ける予定だったのですが、同時に5つの作品に投稿するのはきつかったので、打ち切りです。
ほのぼののタグをつけているのに、少しもほのぼのじゃありませんが、まあ良いでしょう。
反省点は他にも色々とあるのですが、ざまぁなしでここまで読まれると、上出来だと思ってます。
10万字も超えてますし、終わらせるのに良いタイミングだったかも知れません。
最強の家庭菜園ダンジョン~最強のダンジョンとは準備期間のダンジョンだ。入口がなければ攻略出来ない。俺のダンジョンは永遠に準備が終わらない。畑に終りなんてないからな~ 喰寝丸太 @455834
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