“大好きな”あの子と普通に旅館に泊まりに来ただけ

♯６ チェックアウト

[SE]　ピヨピヨピヨ（朝の鳥の泣き声）

「んぅーーー！　よく寝た！」

「ねぇ、起きて起きて。もう朝だよ」

[SE]　ゆさゆさ（体を揺する音）

「あっ、起きた。おはよう」

「よく寝れた？」

「ね、寝れなかったって、あははは……」

「チェックアウトって何時だっけ？　朝食食べたら帰り支度しないとだよね」

「へー！　そうなんだ！　じゃご飯まではまだ時間あるんだね」

「ご飯何出るんだろう！　楽しみだなぁ」

「あっその顔！　また朝からご飯の話してるとか思ってるでしょ！」

「嘘だっ！　顔にそう書いてあったもん！」

「そうだね。私も時間あるみたいだしちょっと朝風呂入ってきちゃおうかな、大浴場のほうもう一度入りたかったし」

「うん、そうだよね！　そうしよそうしよ！」

「……」

「……そ、それともそこのお風呂にまた一緒に入る？」

※※※

「んー！　満足満足！　いっぱい食べたーー！」

「朝食もバイキング形式だったね！　なんでこういうところの味噌汁ってあんなに美味しく感じるんだろう……」

「あ、あははは、朝からご飯２杯も食べちゃった……」

「だ、だって！　最初はバイキングで取ったおかずでご飯食べてたんだけど、納豆が置いてあったから納豆も食べたくなっちゃって！」

「うー、また食いしん坊にされてる……」

「いいよ、いいよーだ。これからあなたと一緒に色んな所にいっていっぱい美味しいもの食べるんだから！　今のうちに慣れといてっ！」

「うん、これからも一緒にたくさん美味しいの食べようね！」

「じゃあ、そろそろチェックアウトの準備しなきゃだね……」

[SE]　ガサ……ゴソ……（荷物を入れる音）

「大丈夫、忘れ物ない？」

「私も大丈夫……なはず！」

「うん、そうだねそろそろ行こっか」

[SE]　ガチャ（部屋のトビラを開く音）

　　　ウィィィ、ガシャン（エレベーターの起動音）

「あっ！　最後にそこのお土産屋さん見てこうよ！」

「ふふっ、仕方がないなぁ！　じゃあおそろいの何かも買っちゃおうね！」

「うん！　あとは帰るだけだから、いっぱい買っても大丈夫だよね？」

「よーーし！　いっぱい買っちゃうぞー！」

[SE]　ありがとうございましたー！

「ふふっ、結局最初に見てた可愛いやつのおそろいにしちゃったね」

「なくしたらダメだからね？　私も大切にするから」

「あっ、うん！　じゃあ入口のところで待ってるね！」

「お、お土産少し買いすぎちゃったから、これ持って移動は大変だもんね……」

「うん！　ありがとう！　チェックアウトの手続き任せちゃうね」

※※※

[SE]　ウィィィィン（自動ドアが開く音）

　　　ざっざっ（しばらく足音のみ）

　　　ブロロロロロ（バスが近寄ってくる音）

「あーあ、ついにここともさようならかぁ」

「……」

「……ねぇねぇ昨日さ、あんなに色んな所に行きたいって言ったけどさ」

「ここにもまたあなたと一緒に来たいなぁ……」

「うん、これから色んなところにいってあなたとそういう場所増やせるといいね！！」

「……えへへ、あなたのこと大好きだよ」

「これからもずっと一緒にいてね」

[SE]　トットットッ（バスに乗り込む足音）

　　　ブロロロロロ（バスが走り出す音）

　“大好きな”あの子と普通に旅館に泊まりに来ただけ

～FIN～　

　旅行は終わってしまいましたが二人の楽し気な未来はまだまだ続きます。