第13話 オッス!オラ、モブ!





 オッス!オラ、モブ!


 ・・・・・・・・・


 いやいやいや、自分で言っといてなんだが、各々の人生において、誰一人としてモブ、脇役なんて存在しない。


 人と違っても自分は自分。自信を持って生きて欲しい。


 ただ、社会という集団生活において、自分一人で生きている人間などいない。


 どうしても他人と自分を比べてしまう。


 その中でどうしても光輝く、主人公のような人間は存在する。


 そんな人達と比べれば凡人など路傍の石、正しくモブである。


 認めざるを得ないが、俺もそんなモブの一人、名は神代豪遊かみしろごうゆう


 容姿も平凡、学力も平凡、生まれも平凡。何処をどう取っても平々凡々な俺、神代豪遊。


 そんな凡人な俺も今では高校生。


 極々普通な高校へ進学し、極々平凡な日常を送っている。


 しかし、平凡だと自負している俺だが、何故かクラス委員を任される事が多い。


 高校に進学したこのクラスでも何故かクラス委員に選ばれた。


 正直なところクラス委員を任されるのは嫌ではない。


 モブと自負しているが、目立つのが嫌いな訳でもない。


 頼られる事に一定の喜びもある。


 だからと言って何でもはい、はい、と頼み事は聞かない。


 嫌なものは嫌と言えるぐらいの意志の強さはある。


 平凡とは言いつつもこれぐらいの個性はある。


 まぁ、大概の他人から見れば自分なんてただのモブである。


 光り輝くような主人公は極々一部である。


 そんな何処にでもいる平凡な人生を送っている俺だが、平凡ではない事が眼前に横たわり、驚愕している。


 何故なら世にも珍しい幼なじみカップルが同じクラスにいるからだ。


 幼なじみで恋人同士になる等と言ったオカルト地味た存在が同じクラスにいる。


 俺は今までそんな事は信じてこなかった。


 それはカッパや天狗などと言った妖怪の類を本当に信じていると同じぐらい頭の悪い事だからだ。


 たまたま同じ年に生まれ、たまたま家が隣同士、又は近所同士で、たまたま同じ学校に通い、たまたま同じクラスで、たまたま仲良くなり、たまたま一緒に遊ぶようになる。


 そして、思春期を迎え、異性を意識し出す頃には、お互いが只ならぬ感情を抱いている。


 そして、幼い頃の感動のエピソードまで備わっている。


 紆余曲折がありながらも、お互いの気持ちを確かめ恋人同士になる。


 そんなたまたまが続くわけがない。


 そんな〝サメに襲われて命を落とす〟よりも確立の低い存在が目の前に存在している。


 因みに〝サメに襲われて命を落とす〟確率は1億1000万人に1人の確立だ。


 カップルは一人では成立しないからこの数字を二倍する必要がある。


 そうなるとこの日本には一組も存在しない事になる。


 それ程までに幼なじみカップルと言うのは世にも奇妙な存在なのだ。


 しかし、それだけで終わりじゃない。


 そんな頭の中がお花畑みたいなカップルがもう一組いる。


 な、な、な、なんと!俺のクラスには二組もそんな奴らがいるのだ。


 これはサメに食べられながら頭に隕石が落ちてくるぐらい確立の低いことだ。


 これ程の存在が目の前にいる。


 平凡な人生を歩んでいるはずの俺にそんな奇特な存在がいていい筈がない。


 奴らは120%地雷だ。


 だから俺はこのクラスになってから矢内勝と筧風美。そして、道山優太と美城沙羅とは一定の距離を保ってきた。


 それによって俺の平穏な生活は脅かされる事なく過ぎていった。


 一部を除くが・・・


 まぁ、それは大した問題じゃない。要は奴らに不用意に近づかない事だ。


 マジで火傷では済まない予感がある。


 そして、案の定奴らの関係に綻びが生じた。


 彼ら四人は入学早々仲良くなり、学内では四人一緒に行動する事が多かった。


 何故そこが仲良くなったのか理解に苦しむが、馬が合ったものはしょーがない。


 傍目から見て彼らは仲良さそうだった。


 一部では凸凹カップルと揶揄されていたりもしたけど・・・


 まぁ、俺の感想としてはお似合いのカップルではあった。幼なじみというステータスを除けばだが。


 しかし、先週の月曜日から様子が可笑しい。


 あれだけ一緒にいた四人がバラバラなのだ。


 道山は筧さんと一緒だし、矢内は別のクラスメイトと昼飯を食っていた。


 美城さんに至っては常に一人だった。


 普段仲の良い彼女の友達も、いつもと雰囲気の違う美城さんにどう接していいか分からないと言った感じだった。


 なので、クラスの一部はこの変化を敏感に感じ取っていた。


 いや、大半のクラスメイトがこの変化に気づいていた。


 だからか分からないが、先週の俺のクラスの雰囲気はすこぶる悪かった。


 精神が弱い奴はマジでゲー吐くレベルだった。


 マジで地雷だ。


 幼なじみカップルなんて地雷以外の何者でもねぇよ・・・


 しかも、俺はあんまり関わりにならないと言いつつも、少し関わりを持ってしまっているから厄介だ。


 はぁ〜、俺の平凡な日常を返してくれよ。


 εεεεε

 あとがき

 神代豪遊くん、度々登場すると思うので出来れば覚えてあげて下さい。

 さて、ここまででストックがなくなりました。

 次の両名の悪夢まで書き溜めてから更新したいと思います。

 色々コメントありがとうございます。

 ネタバレになるので、あまり詳しくはコメント出来ないですが、勝と沙羅の今後に期待して下さい。いい意味でも悪い意味でも。

 最後にいつも☆評価と応援コメントありがとうございます。執筆の励みになります。

 


 

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浮気の罰として女神様から魔法の貞操帯を架せられたクズとビッチ 鬼頭星之衛 @Sandor

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