第37話 伯爵と子爵の最後

「も、もう……許して…………くだ……さい…………」


 本来なら感じるはずもない快楽を感じながら、目の前の長年仕えた執事がひたすら咥えていて、その恥ずかしさに飲まれ続けたクリミール子爵が大きな涙を流して後悔し始めた。


「もう一回だな」




「ま、待って! お、俺がやった! 俺が王都に出回っている『エデン』を作っているんだ!」




 スキル『裁判院』が反応し、光り輝く。これは『真実』を示しているのだ。


 だが、実はこれで既に2回目・・・だ。


「もう一つの質問は?」


「そ、それは…………」


「仕方がない。もう一度だ」


「や、やめてくれ!」


 一旦停止させていた『指定を停止』を『指定を開始』に戻す。


 ビクッとなった二人はまたもや同じ事を繰り返す。


 ユーリお嬢様の目から生気が消えかかっている気がする…………。




「さあ、どうなんだ?」


「もう嫌ぁ…………『エデン』を……仕入れていたのは…………アッスホール伯爵様だよ…………」


 クリミール子爵の言葉が部屋に響くと、スキル『裁判院』が鮮やかな光に輝く。


「汝の証言は『真実』である!」


 部屋に裁判官の声が空しく鳴り響いた。






「ベリアル…………」


「どうかしましたか? ユーリお嬢様」


「…………ごめんなさい。私、ずっとあれをベリアルに置き換えて5%でも興奮するのかと、試して見たけど……駄目みたい」


「いや、あれで興奮されても困るよ」


 あっ、執事なのに素が出てしまった。






「姫様……」


「う、うん……」


「ベリアルさんには……」


「わ、分かっているわ。絶対に逆らいません」


「お願いします……」


 王女とミーナが何やら俺の事で物騒な話をしていた。


 俺はただ説得・・しただけだぞ。




 ◇




 王城の玉座の間。


 玉座には王国の唯一無二の存在である王様が鎮座している。


 王女が王国内一番の美女なだけあって、王様も凄い美形のダンディーな男性だった。


「まさかこういう形でここに連れて来ようとはな、ジャーク・アッスホール伯爵」


「…………」


 真っ青な顔で連れて来られたアッスホール伯爵。


「申し開きはあるか?」


「っ……」


「我が国で最もあってはならない『エデン』を栽培していたのが、まさか我が国を支えている貴族だとは…………恥を知れ! ジャーク!」


 玉座の間にいかる王様の声が鳴り響く。


「裁判を執り行う! ルクス!」


 王様が名前を呼ぶと、一人の男が正面に出て来て、伯爵の前に立つ。


 周りから「おお~最高裁判官のルクス様だ!」と声があがる。


 …………お前、最高裁判官だったのかよ。中年裁判官さんよ。




「こほん。では王様の依頼で裁判を執り行う! 汝に質問する! クリミール子爵が作ったと自白した『エデン』をアッスホール伯爵に横流しをしていたと自白した! それは誠か! 答えよ! アッスホール伯爵!」




 顔に血の気が全て引いて真っ青になって、震え出す伯爵。


「どうなのだ! ジャーク! 違うと言ってみろ!」


 王様と裁判官から攻められた伯爵は、答える事なくその場で失禁する。


 すると、光り輝いていたスキル『裁判』が鮮やかな光を発した。


 これは、答えなくでも行動・・で答えた判断となる。


「汝の言葉は――――――『真実』である」


 玉座の間に集まった多くの貴族達から悲鳴にも近い声が鳴り響いた。




 ◇




 地下牢。


「お父様のせいで僕まで捕まったちゃったよ! どうしてくれるんだよ!」


「だ、黙れ! お前があの女をちゃんとしつけ出来ていれば、こうにはならなかったぞ!」


「あの女は俺を侮辱したんだ!」


「馬鹿野郎! お前の調教が下手くそだったんだ!」


「なんだと!」


 地下牢に醜い父と子の喧嘩が鳴り響く。




「おいおい、牢に入ってまで喧嘩するなよ」




「っ!? だ、誰だお前は!」


「俺が誰かか…………そうだな。一言で言うなら、貴様らが敵対した女のだ」


「は!?」


「お前達のようなゴミクズを再生・・させてやろう」


「ぶ、無礼な! 俺はアッスホール伯爵だぞ!」


 伯爵と息子が牢の鉄格子てつごうしを激しく蹴り飛ばす。


 地下に鉄を叩く音が空しく響いていく。


「ゲラルド」


「はっ」


 伯爵の息子の牢を開けて外に出す。


「痛っ! 何をするつもりだ!」


 続いて伯爵の牢を開ける。


 そして、




 中に伯爵の息子を入れる。




「「な、なんのつもりだ!」」


「言ったろう? お前らを再生してやると。お前らは今まで散々奴隷達をもてあそんでくれたらしいな?」


「それがどうした! 玩具は玩具だろうが!」


「…………やはりゴミはゴミか。だが安心しろ。俺がちゃんと再生してやるから」


「何が再生だ!」


 今まで受けた報い・・を受けさせてやろう。



 スキル『性欲属性変更』。



 両方同じ『属性変更』と『指定』を施す。


 属性を黒色から赤色に変更させる。


 そこに紫色のダイヤマークを付与する。


 『指定』には、『お互いの裸を見ると『性欲超上昇』を施す』、『『賢者タイム』を迎えると『精力回復』を施す』を設定した。


 レベル7になって色々試してみて、凄い発見をした。


 『指定』でスキルを指定した場合、本来なら次使うまでのクールタイムが存在するのだが…………『指定』なら何故かクールタイムが必要がない。つまり、『性欲超上昇』と『精力回復』を永遠に掛け続ける事が出来た。


 そして、最後の紫色・・のダイヤのマーク。


 恐らく俺は見た全ての属性の中で一番凄い属性だ。


 多くは性欲値が赤色の方々が持っている。特に多いのは男の性欲値が赤い人。


 紫色のダイヤは――――――
















 後ろ愛好家・・・・・になるのだ。



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