第26話 クズの修羅場?③

 どうしてこんな事に…………。


 俺の横に眠っているクルナさん、ミーシャ、ユーリ。


 まさかあのまま3人と揉み合い・・・・になるとは思いもしなかった。


 正直、多人数を相手するのは人生初めてなのもあり、少しの背徳感と、少しのワクワク感から始まり、お店でときおり複数人を指名する人の気持ちをよ~く分かった。


 一言で言えば、そこは天国だね。


 ただ、一つだけ懸念点があり、俺のスキルでいくらい性欲値を300%に変えて快楽を楽しむと言っても、3人をフルで相手するには体力的に厳しいモノがあった。


 そこで光ったのが、丁度性欲レベルが4から5に上がって手に入れたスキルだ。


 レベル4で手に入る『性欲超上昇』というスキルは相手の性欲値を60分間500%にするとんでもないスキルだ。


 ユーリの初体験の時、元々5%だった彼女に快楽を味わってもらうために試してみた『性欲超上昇』は、予想通り凄まじい効果を持った。


 60分間、体力の限界まで搾り出す程の効果であった。


 それを今回3人相手に使うべきか、ただの300%にするべきか悩んでいたら、丁度よくレベルが4から5に上がり手に入ったスキルが大活躍した。


 それが――――――『精力回復』。


 これは減っている体力、やる気、全ての状態異常・・・・をも全部回復させるだけでなく、尽きた精力を完全回復させる優れものだ。


 さらに完全回復だけでなく、ボーナスとして『精力の回復速度倍増』が永続バフで付くという優れ(?)スキルだ。付けない選択も出来るので、ただの回復スキルとしても使える。


 デメリットとしては、一度使った対象に再度使うまで720分――――つまり半日を要する事だ。


 人生初めての多人数相手で不安だった体力はこのスキルで補えるので、『性欲超上昇』からの揉み合いから、自分にだけ『精力回復』を使い、無事乗り越える事が出来た。


 それにしても…………右を見ても左を見ても女の子がいるって凄い事だね。




 まだ眠っている3人をそっとしておいて、リビングに降りると、メイド奴隷達が少し顔を赤らめて挨拶をした。


 あ…………昨日の揉み合いが家中に鳴り響いていたのだろうか…………。


 まあ、いずれ部屋の洗濯をして貰う時にバレるだろうし、気にしないでおこう。


 クレアが淹れてくれた珈琲を飲みながら、庭に繋がる窓から入って来る優しくも涼しい風に揺られながらゆたりと時間を過ごす。


 2階への階段から音が聞こえて3人が少し恥ずかしながら降りてくる。


「おはよう。みんな」


「おはよう~」「「おはようございます~」」


「ハンナ。みんなの分も」


「かしこまりました」


 テーブルを囲った3人と目が合うと、昨晩の事を思い出して少し恥ずかしくなる。


 朝食を食べ終え、一番最初に出ていくのはユーリで、魔法ギルドの仕事があるそうだ。


 少し経過して、お昼前にミーシャがお店のために帰っていった。


「ミーシャ。今夜顔を出すってミレイアさんによろしく」


「母も喜びます!」


 ゆっくり昼食を食べ終えて、クルナさんは出勤の為に仮眠を取る。


 夜しっかり寝てもちゃんと仮眠が取れるのは、さすがプロというべきか。


 俺は一度家を出て、自分が持っている土地の見回りに行く。


 土地は全部で14か所。


 一つは今住んでいる高級住宅が建っている場所と一つはミレイアさんに営んでいるお店がある広場に面した一等地の土地。


 他12か所も殆どが一等地で全部貸し店舗が建っている。


 全て貸していて、家賃収入だけでも正直何もしないで生きれる程だ。


 そもそも物欲とかもないので、彼らには少し安価で貸しているけど、一等地なのも相まって今貸している人達とは相変わらず仲が良い。


 今日も見回りをしていると野菜だの果物だの肉だの分けてくれる。


 正直いらないのだが…………こんな破格で貸してくれる大家はいないそうだから仲良くしたいからくれるらしいから、ここはありがたく頂くとする。


 一度家に頂き物を届けて、再度出かける。


 広場には相変わらず人も多いが、その中でも目を見張る列をなしている店は、ミレイアさんが営んでいる『ホーリーナイト』だ。


 ミレイアさんのオムライスこど『ホーリーライス』を始め、他のメニューも美味しくて充実していると噂になってここまでお客様が増えているね。


 最近は従業員も増えて忙しい日々を送っているそうだ。



 夕方までぶらぶら歩いて、久々の『ホーリーナイト』にお邪魔する。


 『ホーリーナイト』はお昼しか営業していないのだが、夕方は予約が決まったお客だけ入れるようにしているそうだ。


「ベリアルさん! いらっしゃい!」


「ベリアルくん!? い、いらっしゃい!」


 厨房から身を乗り出して手を振るミレイアさん。


「ミレイアさん。最近顔を出せなくてすいません」


「ううん! 色々忙しいと聞いていたからね。大丈夫よ! お腹空いてるよね?」


「はい。久しぶりにミレイアさんの手料理が食べたくて何も食べずに来ました」


「うん! すぐに作るね!」


 厨房に立つミレイアさんは鼻歌を歌いながら次々料理を作ってくれる。


「うふふ。お母さんがあんなに喜ぶのはベリアルさんが来てくれた時だけですよ~?」


 ちょっと拗ねた風に話すミーシャがまた可愛い。


 完成した料理を次々運んで貰い、次々食べていく。


「あ、ベリアルさん? 今日、泊って・・・いきます?」


「う~ん。ミーシャ達の迷惑にならないなら?」


「ぜひ泊っていってください!」


 聞き耳を立てていたミレイアさんが嬉しそうにしている。




 まあ、何と言うか、そうなるかも知れないと少し思っていたけど、最近積極的になったミーシャは、俺とミレイアさんの時間に割り込んで来た。


 まさかミレイアさんとミーシャと一緒に揉み合いする日が来ようとは…………。


 元はこんな風にするために頑張った訳ではないんだが…………ミーシャとの付き合いもあるし、ミレイアさんにはこれからもミーシャのために頑張って欲しいから、ここは一つ、クズらしく頑張るとしよう。


 ベッドに目がハートになっている二人に早速『性欲超上昇』を掛ける。


 少しじらしていると二人が我慢出来ないと俺を襲ってきた。


 久しぶりのミレイアさんとの時間だったが、ミーシャと一緒におしくらまんじゅうも悪くないな。



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