エレベータの底の人々

高黄森哉

エレベーターの底で見た物

(質問) エレベータの整備士に質問なんやが。エレベーターの内部で見た、一番ヤバイものはなんや?



〈人工知能によって書かれた回答〉



 最初に思いつくのは、最近の、エレベータシャフトやエレベーターで暮らす人々の集団、についての発見でしょう。これは人類学者や社会学者にとって、普通でない発見であり、それはこれまでにないほど人間の文化に迫るものでありました。


 その集団はワシントンDCのエレベーターの修理員によって、間接的に形成されました。つまずいてシャフトの壁の間にシューズを落とし、緊急停止ボタンが押されたのですが、壊れた装置は二ブロック先の、全てのエレベーターのシャットダウンを引き起こしました。その結果、数百の人々がエレベータの中に閉じ込められることとなったのです。


 調査によると、十年に渡り数百の人々が、エレベーターシャフトやメンテナンストンネルに、廃棄された機械で出来た家をつくり暮らしていたとのことです。


 そこに住む人々の多くは、ホームレスだった、ということも判明しています。彼等の多くは、数十年間、路上で過ごしゴミ箱を漁り橋の下で眠っていたのです。ですが、建築バブルが始まった際に、建設のための退去を余儀なくされました。しかし、彼等にはどこにも行く当てがなく、雨風をしのげる場所を熱望していました。そして、エレベータに居場所を見出したのです。


 私は、彼等が住んでいたシャフトの映像記録を見ました。それは本当に、想像を超えた世界です。人間がここまで逞しいとは、思いもしませんでした。

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エレベータの底の人々 高黄森哉 @kamikawa2001

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