2 短歌


いくつか俳句をつくったあと、つぎにチャレンジしたのは短歌です。



 かへり路あめの眺めの紫陽花の色づきたるや長雨のあめに


 なつぞらに恋の呪いが満ちるなら海はいまにも墓場に変わる



<読み>

かへりみち あめのながめの あぢさゐの いろづきたるや ながめのあめに

なつぞらに こいののろいが みちるなら うみはいまにも はかばにかわる

(上の歌は古典的な仮名遣い。下の歌は現代的仮名遣いです)





歌以外の部分は蛇足かなと思いつつ、やっぱりなにか書いてしまいますね。


短歌にしろ俳句にしろ、五と七でリズムを刻むのが心地いいのは、たいていの日本人が幼いころからその調べにあまりに親しんでいるからでしょうか。

もちろんリズムは五・七だけではないし、そこに囚われすぎると却って悪弊もあるかもしれません。それでも、文章にリズムをもたせることは読みやすさを高めるし、なかでも五・七は、日本語を話す者にとって基本のリズムなんだろうと思います。



さて、

下の歌は、現代っぽい情景です。ビーチに人はあふれ、夏の陽は燦々、こんな明るい光景なのに……。恋の歓びとおなじぐらい、恋の呪いもあるんじゃないかな、と。


上の歌は、しっとり雨に湿うるおって。

「眺め」と「長雨ながめ」を掛けるのは、小野小町から借りてきたとピンと来られた方も多いと思います。

「長雨のあめ」って、かぶってるだろ、と思われるかもしれませんが、ふるい短歌にはそういうところがよく見られます。

また、第二句と第五句とがまるまるおなじってことも。有名なのは競技かるたの序歌にもなっているこの歌。


 難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花


リフレインって、歌謡の基本技ですよね。

リズムを生み出すのに効果大だと思うのです。五・七とはまた別の種類のリズム。

私の歌では、「あめの眺め」「長雨のあめ」と語順をひっくり返しましたが。


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