ラビット's Sky

ファンキーボーイ

【U1ネクストダイレクトコール　敵機作戦空域内への侵入】

【迎撃許可発動】

【バンデット（敵）と交戦せよ】

「ウェポンズフリー（武装使用許可）了解、バンデット（敵機）へ先制攻撃を仕掛け……ミサイル！？ブレイク（回避）！ブレイク（回避）！！」

運命とはいつも唐突に出会う。

高速で接近してきた敵機を迎撃するより早く、敵機からミサイルが放たれた。

鉄槌の種類がわからない。チャフとフレアを同時に撒く。

避けれた、しかし次の攻撃が来た。

「ミサイル！！加速して振り切れ！！」

迎え角30度。

機首をもう少し下げて急降下する。

ミサイルから目を離さない。

まだ遠い。煙はどんどん近づいてくる。

そして、時間を考えてる内にぶつかる程に近くなったその時。操作レバーを引いた。

旋回する機体のG（加速度）に耐え、ミサイルを振り切る。

「振り切ったか！？」

味方機が墜ちた。

火の手が上がる機体からボシュンとパイロットが射出された。

しかし、あの速度からの脱出だ。無事では済まないだろう。

「クッソ！」

敵機へと機首を向け目標をロックオン。

トリガー（引き金）を引いた。

腹部から切り離されたミサイルは一瞬の間を置いてエンジンが点火し、勢い良く敵機へと向かう。

しかし、そのミサイルは直後、空中で爆散する事になる。

バルカン（機銃）による迎撃だ。

「なに！？」

破片が次々と機体を傷付ける。

燃料漏れや揚力不足の警告音が鳴り響く。いや、ロックオンもだ。

「当たりやがれ！！」

トリガー（引き金）を押した。

翼端に付いていたミサイルが飛翔する。

それと同時に奴の姿が確認できた。

4枚羽。狼野郎だ。

「よりにもよってッ！！」

死ぬわけにはいかない。脱出レバーを引く。

射出された座席から離れ、パラシュートが開く。

「グウッ！？」

全身が圧迫され、骨折も痛みもした。しかし、奴から目は離していない。

どう動く？奴がチャフやフレアを使った事は無い。バルカンで迎撃したか、機動力で全て回避している。

突っ込んだ？放ったミサイルはサイドワインダー。

空中炸裂弾頭は熱源の接近により起爆する。つまり、触れてなくても爆発する。

爆発した時に発生する破片による攻撃が主な対空ミサイルや榴弾（HE）がこれに当たる。

それに突っ込む？正気じゃねぇ。

クレイジーだ。しかも、バカな方の。

だが、それを成功させるのがフェアリーだ。

サイドワインダーは目標に独特な蛇行飛行により接近する。そして、直撃間近になった……その時だった。

4枚羽から謎の煙が噴出された。

機体を纏ったそれはサイドワインダーから認識されなくなり、サイドワインダーは新たな目標を探す為に空中で回りだす。

しかし、推進力が無くなり、すぐに落下し始めた。

あの煙はたしかステルススモーク。

なるほど……彼が狙っている目標がわかった。

目標は弾道ミサイル『オメガ11』だ。

しかしもう遅い。

オメガ11はもう発射体制だ。音速を少し超えただけでは間に合わない。

だが、後に聞いた話……というよりは見た話だが。

二つの線（ライン）が空中で混じり合い、少し光ったかと思うと目を潰す程に眩しい光が辺り一帯を灯した。

あれは……確実に核爆発だ。

あの高さなら、都心部の電子機器は全て消滅だろう。

無論。このGPSも範囲内だったからもう使えない。

その後の4枚羽の話は聞いていない。