最高の友達

@musyuka

第1話

 ペルペルは友だちのため りんごチョコレートとパイナップルクッキーをカゴにつめ 街へやってきました。これから だいすきな友だちの家にいって 五時間はおしゃべりするつもりです。



 友だちと会える日曜日を ペルペルは とても楽しみにしていました。



 ペルペルはベチャおばさん宿屋ではたらきながら おしゃべりのネタを見つけてはノートに書きとっていました。



「ノートが3冊もなっちゃったわ!おしゃべりが楽しみだわ。」



 ペルペルは かわいいえくぼを浮かべると スキップしながら友達の家にむかいました。



 さて その友達の家ですが 家ではなくて城でした。その城はとても黒く大きくて 周りは不気味なほど静まりかえっていました。



 その城の台所では この城の主人である 大魔王ブラッシェ・ホムロスがニンジンパイを焼いていました。



 この大魔王は、とても悪くて強くて、国一つほろぼせる呪文をいくつも唱えることができました。歴代の王の中でも最悪の部類のやつでした。その大魔王が「あっち!あっち」と何度もとがった耳たぶをおさえながら、オーブンに まきをくべているのです。部下にやらせたらいいと思いでしょうが 大魔王はあまりにも悪すぎて強すぎて 部下はみな城から出ていってしまいました。ですので料理が苦手にもかかわらず まもなく来る友達のために 大魔王自ら準備をしなければなりませんでした。



 ペルペルが城の門をたたくと、城の中でガタンゴトン すごい音がしました。



「い、今開けるから」



 大魔王はおしりを おさえながら 扉をあけてくれました。ペルペルの顔見ると大魔王は とても嬉しそうに笑い 「さあ、さあ、入ってくれよ」と部屋の中へあんないしました。



「おじゃましますね」ペルペルはぺこりとお辞儀をして 部屋へ入ると、ボッとひとりでにロウソクの火がつきました。



 大魔王がパンパンと手をたたくと テーブルに黒いクロスがひかれ たくさんの料理が ならんでいきます。もちろん大魔王お手製のニンジンパイも。



「どうぞかけてくれよ」



 大魔王は自ら ドクロの紋章のついた椅子をひいて ペルペルに腰かけるように いいました。



 ペルペルは腰をかけると、大魔王はまたパンパンと手を叩き ペルペルの襟元に黒いナプキンをあらわれてフォークとナイフを前におかれました。



「いただきまーす」



 それからペルペルと大魔王は食事をおおいに食べて たくさんのおしゃべりをして楽しみました。



 大魔王はペルペルの持ってきたりんごチョコレートとパイナップルクッキーを「おいしい!おいしい!もう一個いい?」と言いながら 全部食べてしまいました。



 ペルペルも「おいしい!おいしい!もう一個いい?」と言いながら 大魔王のお手製のニンジンパイを全部食べてしまいました。



 おしゃべりでは ペルペルのネタの宿屋のボッカス爺さんのお話がおもしろかったらしく 大魔王は足をバタバタしながら 腹をかかえて笑い転げました。ペルペルは少し意地悪して 何度もオチを言いました。その度に大魔王は笑い転げ いっときは呼吸がつまって死にそうになりました。「不老不死のこの私がこの様な・・・・・・・」と言いながらあの世に行きそうだったので ペルペルは背中をさすって、この世に呼び戻してあげました。



 ペルペルが隣にすむジミーにいじめられた話をした時は大変でした。大魔王は真っ赤な顔をして いきなりドラゴン千体を呼び出す召喚魔法を唱えはじめたので ペルペルは必死で大魔王の口をおさえて呪文をやめさせました。大魔王は「奴め!フガフガ!私のペルペルに!ふがふが」と言いながら 大魔王の怒りは一時間以上もつづきました。でも最後はペルペルの渾身のギャグで なんとか大魔王が笑いをもらし 二人で笑いあって おしゃべり会は終わりました。



「今日も楽しかったよ 最高の友達よ」「私もよ、大切な友人さん」また今度の日曜日にといって お互い見えなくなるまで手をふりながら わかれました。



「今日も楽しかった、また日曜日が楽しみね フフフ」



 ペルペルは可愛いえくぼを浮かべ またスキップしながら家に帰りました。



 さて この話はペルペルには知らない話ですが 最悪最強の大魔王の軍勢が ある王国を攻めようとした時 王国を守る城壁に「ペルペルさんの実家あり」と書かれた垂れ幕がひかれると 軍勢はあっという間にいなくなりました。



 こちらはある帝国の話ですが、帝国を守るかべの周りに 大魔王の幹部三鬼帝と数十万の軍勢が囲んだ時も「ペルペルさんの宿屋の姉妹店OPEN」と書かれた垂れ幕をかけると 軍勢はいなくなり 逆に数日後三鬼帝の幹部たちが「これOPEN記念です」と言いながら黄金の胡蝶蘭を持ってきました。



 それだけペルペルと大魔王の友達関係は大陸では有名だったんですね。



 おかげで平和な世界がなが〜く続き ペルペルと大魔王のおしゃべり会は一生続いたそうです。



 ほらまた楽しげな笑い声が聞こえてきましたよ。



 おしまい



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