「ショタ狂い」

蛙鮫

「ショタ狂い」

「んー。素晴らしい」

 高層ビルの最上階。そのフロアに住む私、柏崎かしわざき眞姫那まきなの朝は早い。毎朝の日課であるヨガと瞑想。それと近所で撮ったショタを鑑賞する。


「うーん。ケイ君。いつ見てもいい」

 この最後が一番大切だ。ショタはいい。活発な子。大人しい子。色白な子。褐色の子。そのどれもが個性的で愛おしい。


 そして、総じて柔肌。大人が持っている作り物の美しさとはワケが違う。


 化粧水も乳液もそこには存在しない。化学成分不使用。無添加。まさに神の産物といっても過言ではない。


 おっといけない。そうこうしているうちに出社時間が近づいていた。


 スーツに着替えて、身だしなみを整えて家を後にした。


「おはようございます。柏崎さん」


「ええ、おはよう」

 多くの社員たちが私に一斉に挨拶をしてくる。その目には全員もれなく尊敬のようなものが宿っているように見えた。


「柏崎さん。今日もかっこいいよね。仕事もできて、美人とか本当に羨ましい」


「うん。私もああなりたい」

 新入女性社員たちが何やらヒソヒソと話している。まあ、私には関係ない。


「柏崎さん。今晩、お食事でも」


「良いや。俺と」


「すみません。今晩は予定がございまして」

 数多の男性社員が私に声をかける。


 しかし、私は大人に興味はない。どんなイケメンや色男も私はちっとも関心が持てない。唯一引き付けるのは無垢な少年達だ。


 公園で元気に走り回る少年。一人部屋の中で本を読む少年。良い。その全てが芸術的だ。


 仕事を終えて、家に向かっていた。正直、今日の仕事はかなり忙しかった為、非常に肩が重かった。


 疲労感を引きずりながら、歩いていると向かいから見知った顔の二人が来た。一人は今の私の推しであるケイ君。五歳とそのお母様だ。


「柏崎さん。こんばんわ」


「こんばんわ。これから買い物ですか?」


「ええ。お夕飯の支度を息子と。ほら、ケイ君。ご挨拶は?」


「こ、ば、んわ」

 疲れが飛んだ。今、いけるわ。残業でも徹夜でもなんでもこなせるわ。疲労? 何それ。知らん。


「こんばんわ。ケイ君」

 私は挨拶を返すと、照れているのかお母様の後ろに隠れてしまった。可愛すぎて心臓が止まりそうになった。


 家に帰った後、少し部屋の中を整理していた。普段、掃除をあまりしないのでここぞって時にするのだ。


 すると戸棚から一枚のアルバムが出て来た。私の宝ものだ。


 アルバムを開くとそこに入っていたのは今まで隠し撮りした無数のショタ達の写真だ。


 何年も前に撮った写真から最新もものまで幅広く揃っている。私が目覚めた序盤のショタ達は今、高校生や大学生になっている子もいる。


 そして、少し前の子も思春期を迎えたりしている子もいるのよね。思春期を迎えると喉仏が出たり、声が低く鳴ったりする。


 筋肉がついたり、体毛が濃くなったり大人へと進化する。もう二度とあの無垢な頃には戻れない。


でも良いの。その一瞬一瞬に想いをはせれば良い。


 桜は早々と散るからこそ、美しい。一瞬のきらめき、いつかは無くなってしまうから良い。


「歴代のショタ達に敬意を」

 私は一人、敬礼した後、静かにアルバムを閉じた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「ショタ狂い」 蛙鮫 @Imori1998

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ