第7話 いにしえのダンジョンマスター

 人間辞める宣告をしてから三ヶ月。


 俺はまだ生きています!!


 あれから怒涛の日々を送っていた。


 まず東京23区全てを掌握目指してコツコツポイント貯めに勤しみ、家族にダンジョン関係全てを打ち明け、病院側と相談して生活の場を、実家に移した。週に一回実家にお医者さんが来てくれることになった。


 家族に打ち明けたとき、最初は何の事やら解らずにア然としていた両親を、一番の理解者となり、説得してくれたのが、一つ歳下の妹のしずくであった。 


 元々雫とはとても仲がよく、俺にべったりで、俺が入院していた病院に御見舞に来る度に、転生物の小説とか一緒に読んでいた事もあり、理解するのに時間は掛からなかった。


 化学療法を辞めたことにより、ダルさから開放されたのは、非常に喜ばしいことであった。 

 かなり異世界ダンジョン物のweb小説などを読み漁ってもみたが、神話などに登場するモンスターや悪魔など、俺のダンジョンに召喚出来るモンスターが似通って居ることに気付いたので、ナビゲーターのパツコさんに聞いてみた事がある。 


『昔のダンジョンマスターが召喚したモンスターを見た原住民が、その恐ろしさから、神話にしたのでしょう』と言われた。


 ダンマスが先で、後から神話が作られたのか。そんな昔からダンジョンってあったのね?


 地球にダンジョンマスターは大昔に一人居たらしい。コア自体は別物だが、システム的なものは一緒らしい。


 過去の人間たちは人口も少なく、ダンマスの知識もなく、上手くコアを育てることが出来ず、比較的浅い層で壊されてしまったらしい。


 同じ轍は踏まないよう、気を付けて進めて行こうと心のなかで誓った。


 ダンジョン制作の進捗状況としては、ダンジョンコアを置いておく建物(以下コアルーム)がある小さな広場と、かなり広い広場を第一層に作る事が出来ている。


 この大小の広場は一応細い通路で繋がってはいるが、今後コアルームのある広場は深い階層に移す予定である。


 コアルームには真ん中にコアを置く台座があり、その台座にコアを置くと、10cm程度浮いた。そして回転している。流石は小さな惑星といった所である。


 そのうち壁一面に監視用のモニターとか設置したらダンジョン防衛本部の出来上がりである。


 いつか西洋風の城の一室にコアルームを作り、メイドモンスターを召喚して…なんて妹に追い出されそうだな。


 そして今までコアを直接触ってなければダンマスの仕事は出来なかったのだが、小さな分身珠が生まれて、それを握っていれば操作出来るようになっている。


 それとコアルームと実家の自分の部屋が転移門によって繋がっている。なので自宅からソファーとベットを移してきている。 


 食事などは食べなくても腹は減らず、寝なくても生きていける身体になっている。人間辞めちゃってる……。そして妹の雫がなんとサブマスターに就任している。


 妹は大喜びで人間辞めちゃったのだが、学校は通いたいということで、地球で人間やりながら、ダンジョンでダンサブマスをやっている。


 ただダンジョンに居ると成長が停まってしまうのが嫌らしく、ほとんどダンジョンには来ていない。ある程度成長したらダンジョンに籠もるらしい。俺もそれは思ったのだが、「エリクシール」を獲得するのが先だ。 


 1日に獲得出来るDPもかなり増え、このまま何もしなければ半年と掛からず「エリクシール」を手に入れる事は出来そうだ。だがダンジョンに居るという安心感から、ダンジョン制作に手を出しまくって居る。


 ダンジョン制作にはかなりDPを消費してしまう。エリアを立体的に確保しようとするとあっという間にポイントが消えてしまう。


 俺が考えているダンジョン運営は、モンスターを放つのではなく、穀物等を植えて、永遠に取れ続けることができるトンデモ農業をやろうと思っている。


 というのも試しに少量の小麦を換えてみたところ、収穫しても0時を跨ぐと少量のDPを消費してまた復活するのである。


 そして設定で小麦のままだと外に持っていけないようにすることも出来た。 


 加工すれば外に持っていけるということに気付いてくれればいいのだが。なんせダンマスであることは知られるわけにはいかないので直接教えるわけには行かない。


 広く確保出来たスペースには後々小麦やトウモロコシなどを植え、加工所を作ることが出来るスペースも確保する。ダンジョンは復元機能があるのだが、表面に乗っかっている物は特に影響しない。だから人間が外から素材を持ち込み、工場を建てることも可能なはず。人間がこの現象に気付いた時、きっと世界は変わってしまうだろう。


 日本の食料自給率はかなり低い。これが自国のダンジョンで季節関係なく、365日毎日大量に採れてしまうのである。これはヤヴァい!ダンジョンの神は地球の神にもなってしまいそうだ!ワハハハ。


 厨二っぽく振る舞ってみたが俺はまだ高校生だからセーフだ! 

 

 まあ話しを戻すと、広大なスペースに農作物を植えて、それを刈り取り、加工する為の人間にダンジョン内に入ってもらい、生命エネルギーを頂いちゃおうと考えたわけだ。 


 ただもちろんモンスターが出現するエリアも作って行く。モンスターを倒した時に出るという魔石が、エネルギー革命を起こすと言われたからだ。


 モンスターは魔石と言われるバッテリーのような物で生命を維持しているらしく、定番の魔素の塊説とは違っていた。小さな魔石で動くモンスターは弱く、魔石が大きくなればモンスターも強くなるという事らしい。


 そして俺の匙加減で、モンスターにスキルブックや魔法のスクロール、消費アイテムなどをランダムに持たせ、倒されたときにドロップさせることが出来るということだ。そして倒されたモンスターも0時マタギで少量のDPを消費し自動でリポップする。


 魔石もすぐに解明される事は無いと思えるし、その魔石をどのように使ってエネルギーを取り出すのか、頭の良い人に任せよう…掲示版に遠回しにヒントを与えるのもありだな。


 少しでも早くエネルギー革命が起こればこのダンジョンは賑わうこと間違い無しだからね!

 


 


 

 

 

 

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