第12話 1月

「あけましておめでとう! 今年もよろしくね!

 うん。どうかな? 着物……、似合ってるかな?

 か、母さんがさ……買ってくれたんだ。

 え? 母さんたちとの仲? う、うん、仲良しだよ。


 ……ありがとう。そう言ってくれると……すっごくうれしい」

(頬を赤くしつつ似合ってると言ってくれたキミに照れつつ返事する。

 でも、本当に母さんとは仲良いよ。父さんとは……女になってから、ちょっとギクシャクしてるけどね……。

 母さんは結構相談に乗ってくれてて、料理の特訓もしてくれたし、それに……この着物も、キミを『頑張って落としなさい!』って親指立てて買ってくれたものだし……。

 お、落とせって、ようするに結婚ってこと……だよね?

 結婚かぁ……。

 朝ごはんをつくって、ベッドで眠ってるキミを起こして、いっしょにごはん食べて、準備が出来たら行ってきますのチューをしてみたいなぁ……。

 それで、赤ちゃんとかつくったりとか……、や、やることやってるし、できたら……いいな)

「うふふ……へ? え、お、お願い事!?

 あ、う、うん、そうだよね。お願い事、しないとね」


(……神様。

 死ぬはずだったボクを助けてくれて、ありがとうございます。

 ……女の子になったことには驚いたけど、ボクという存在が消えたわけじゃないんだ。

 それに、隣にはボクを……わたしとして受け入れてくれた大切な人がいます。

 神様、どうかこの幸せがずっと続きますように……。

 ううん、違う。わたしは今、とっても幸せです……)


「……真剣に拝んでるけど、何を願ってたかって?

 ふふっ、なーいしょ♪


 あ、ねーねー! せっかくだし、屋台で何か食べようよ。

 たこ焼き、お好み焼き、焼き鳥、りんご飴~。あ~、何食べようか悩んじゃうな~♪

 ほら、はやくはやく♪ 置いてくよー?」

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