第13話 パーソナリティ

 リスナーの皆さんこんばんはー!


 さーてさて、今週も始まりました「イブニングブラスト」! 今日も地方のちっちゃなラジオ局から生放送でお送りしまーす。


 えー、念の為はじめましての方に説明いたしますと、この「イブニングブラスト」はこの僕、たっくんが音楽と皆さんからのメッセージをお送りするラジオ番組となっております。

 なので皆さんのお声が必要となる訳ですよ。パソコンやスマホからお便りをお待ちしております。

 メールアドレスは――。こちらのあて先に送って下さーい。


 で。その肝心な募集の内容ですが、この番組は基本ダラダラ~と流れる番組なんでね。本来はどんな話だろうとなんでもいいんですよ。

 でも、なんでもいいなんて言うとお母さんに「なんでもいいが一番困るんだけど!」って怒られちゃいますんでね。毎回メッセージテーマを用意しております。


 それで今回のテーマを考えてたんですけど、もうそろそろ衣替えの時期なんですよね。

 ですが世の中には衣替えできない服もある訳です。一年中おんなじでトレンドなんて一切無視。もう何年同じ服着てるの? いい加減買い替えたら? っていう、そういうのが。

 いい加減他の着たい。でも着れない。だったらせめて、皆でお話して盛り上がろうじゃありませんか!


 という事で、今週のテーマは……「エンカウントファッションチェーック」!


 皆さんがエンカウントした時の装備やそれにまつわるエピソードをお聞かせ下さーい。 

 あ、ちなみに僕は革主体の防具と剣です。よくある普通のやつですね。自分でこんなテーマにした癖に、自分のは大してネタになりません。

 だから人の話をします。

 やっぱり、僕の周りでの一番はディレクターでしょうかね。なんたってデッカい斧持ってんですよ! バカデッカい斧! また本人がガサツでおおざっぱなんでね。パワータイプっぽくて似合ってるのがまたね。山賊の親玉として出てきても違和感がありません。

 まあ、こーんな感じでいいのでドシドシ送って来て下さーい。


 それじゃあメッセージを待ってる間に本日最初のナンバーにいきますねー。「Shot set」で「書きたい白紙」!


 ♪


 はーい、今の曲の間に早速メッセージが届きましたよー。今日一発目のお便りは、ラジオネーム「サクラサケ」さんから!


『たっくんさん、こんばんは』


 はい、こんばんはー。


『今日のテーマはエンカウントファッションですか。だったらちょうどいいネタがありますね。私、戦国武将みたいな鎧と日本刀の和風な装備なんですよ』


 ほほう。いいですねー。日本刀ってやっぱり日本人として憧れますよねー。


『私は昔から戦国武将が好きなんです。だからその頃の鎧を着れて大興奮です!』


 その気持ち、よぉくわかりますよー。

 僕もRPGにハマった世代なんでね、魔物とか武器とかスッゴくワクワクする訳です。最近になって、子供の頃にやりこんだゲームを引っ張り出して遊びましたよー。


『ところでこんな装備があるって事は、向こうにも日本みたいな国があるんですかね? 文明あるのかも怪しい世界ですけど』


 うーん。まあ、多分東の方にあるんじゃないですかね? 分かんないですけど。

 あ、じゃあ一回あの世界を冒険してみます?  文明見つかるかもしれませんよ? 僕は怖いのでやりませんけども。


『それでは私は失礼します。番組の最後まで頑張って下さい!』


 はい、最後までダラダラ頑張りまーす。お便りありがとうございました。


 えー、それでは続きまして、ラジオネーム「ミッチェル」さんからのメッセージ。


『たっくんさん、お疲れ様です』


 はい。お疲れ様でーす。


『早速ですが、ぼくはエンカウントに不満があります』


 はい、なんでしょう。僕が引きこもりの魔王さんに代わって聞かせて頂きますよ。


『エンカウントでは趣味が反映される事が多いと聞きました』


 そうですね。基本はファンタジーRPGみたいなのが多いですけど、そうじゃない人も結構いますよね。

 時代劇好きな方は侍みたいだったり、三国志好きな方がそういう格好で戦ったり、って話も聞いた事があります。


『でもそれだとおかしいんです。ぼくの武器はクロスボウなんですけど、スパイ映画が好きなんでそこは普通銃になりません? 確かにワイクエには銃ないですけど、OFには出てくるじゃないですか! どうせ和物とか出してるんだから銃ぐらい出してくれてもいいと思いません!?』


 確かに魔王さんって中途半端な上にケチですよねー。

 折角あんな格好してるのに、必殺技とか使えませんし。杖持ってる人も、魔法使えるかと思ったらただの鈍器だったって話らしいですからねー。

 せめてそのへんは最初からちゃんと説明しといて欲しかったですよね。せめて一回くらいは説明会開くべきだと思いません? 我々には知る権利があーる!


『すみません。個人的な趣味の話でお耳汚し失礼いたしました』


 いえ、構いませんよ。愚痴は存分にここで発散してって下さいねー。

 はい。メッセージありがとうございました。


 では音楽の方にいきましょうかね。お次の曲は「Clear frog」で「カオスミーツカオス」。


 ♪


『たっくんさん、ばんわーっス!!!!!』


 と、ビックリマークを五個も使った元気な挨拶をしてくれたのは、ラジオネーム「カレーは辛口さん」!


『エンカウントの話なら、僕は弓矢持ちです』


 弓矢ですか。先程のミッチェルさんもクロスボウでしたけど、僕の周りには飛び道具持った人は少ないですね。猪突猛進の突撃野郎ばっかりです。


『それで興味を持ったので、高校では弓道部に入ったんですよ』


 へー、珍しいですね。よく聞くのは弓道部だから弓矢持ってたとか、剣道部だから刀持ってたって話ですもんね。

 そういう世代が出てくるくらい時間が経ったって事なんでしょうけど。

 うーむ。時の流れは恐ろしい。


『でも、エンカウントの時は当たるのに、こっちの弓道じゃ全然当たんないんですよー』


 あー、それはあるあるミスですねー。レースゲームが上手いから実際の車も運転できる、って言うみたいなもんです。こっちとあっちを混同してはいけません。勘違いはトラブルの元です。


『でも全然当たんないからこそ、上手くいった時嬉しいんですよね。だから弓道はこれからも続けます。たっくんも応援して下さい。それでは、また』


 はい、僕も応援しますよー。弓道頑張って下さい。続報お待ちしております。


 では、そろそろ次の曲にいきましょうか。

 新進気鋭のガールズユニット「白い十月」で「ロールプレイングピエロ」。


 ♪


 「8雲」さんからもメッセージが届いております。


『たっくぅ~ん。こんばんはぁ~ん』


 はい、こんばんはぁ~ん。


『今週のテーマはエンカウントファッションチェーック! ってことで、突然ですがエンカウント占いって知ってます? 本とか売れてるみたいですよー』


 あー、今そんなのもあるんですねー。

 昔から色々な占いがありましたけど、これはアテになるんですかね?


『まず、たっくんと同じ剣はですね、どんな剣かにもよりますけど真面目な人が多いみたいです』


 はいはい、当たってますねー。確かに僕は真面目が服を着て歩いているような男です。

 ……はい? なんですか、ディレクター。今本番中なんで、言いたい事があっても後にしてくれません?


『斧とか大きい武器の人はおおざっぱな人が多いそうでーす』


 ほら。ほぉーら。

 やっぱりディレクターはそうじゃないですか。当たってますねー、これ。ディレクターのおかげで信憑性が保証されました。


 それにしても、魔王さんはなんでこんなシステムにしたんですかねぇ? やっぱり一回説明会を――


 ――おーっとと。

 リスナーの皆さん、すいません。

 今、ちょっとエンカウントしてました。


 でも安心して下さい! スタッフ一同全員無事ですよー!

 さっき出たのはニワトリみたいな魔物だったんですけどね、この放送みたいに華麗なチームプレーで撃退しました。はい拍手!

 ……と。まあ、それはそうと、ディレクター! 危ないじゃないですかあ! デッカい斧ブンブン振り回して! 頭のすぐ上通り過ぎてきましたよ!? 僕の頭ハゲさせるつもりですか!?

 ホントにもう……ねえ? 華麗なチームプレーとか出来る気がしませんね、この職場。


 ……えっと。それで、何の話でしたっけ?

 ……あ、そうそう。「8雲」さんのお話でした。ではメッセージの続きを読ませて頂きます。


『ちなみに私は魔法使いみたいなやつです。ローブ着て杖持った怪しい感じの。こういう人は研究者気質な人が多いらしいです。だからいっつも私は知的にボカボカ殴ってまーす』


 あ、そうだったんですか。やっぱり全然杖の意味ありませんよねー、それ。魔法の代わりに頑張ってボカボカ殴ちゃって下さい。

 えっと、「8雲」さんからはリクエストも頂いておりますね。


『エンカウントといえばエンカウントボーイズですよ! 「勇者じゃないけど意地がある」をお願いします!』


 はい、という訳でリクエスト。

 最近人気がありますよねー。テレビでもよく見かけます。「THE ENCOUNT BOYS」で「勇者じゃないけど意地がある」。どうぞ!


 ♪


 あー、もうそろそろ時間になっちゃいますね。

 寂しいですけど、これが最後。ラジオネーム「黒縁メガネ」さんからのメッセージです。


『たっくーん! エンカウントお疲れ様ー!』


 ありがとうございます。ホントに疲れましたよ。どこかのデッカい斧のおかげで。


『私は槍みたいだけど先がすごいギザギザになってる武器です。ずっと「なにこれ!?」って思ってたんですけど、ある時エンカウントで一緒になったひとが教えてくれました。スコーピオンていう名前らしいです』


 あー、これもあるあるですねー。解説したがり、もとい親切なマニアな方はそこら中にいるものです。


『これで興味が出てきて、最近中世が舞台の軍記物とか読むようになりましたよ。それでは~』


 はいはい。趣味や仕事って思わぬきっかけで始まったりしますよね。まあ、これはマニアな方の計画通りかもしれませんけど。

 黒縁メガネさん、お便りありがとうございました。


 さて、それでは残念ながら、もうこの番組もおしまいの時間です。紹介しきれなかったお便りもたくさんありました。送って頂いた皆さんありがとうございます。


 それではリスナーの皆さん、また次回の放送でお会いしましょー!

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