7-2.『無責任ヒーロー』を出せたとき、勝ったと思いました

No.4183無責任

No.4712アトラクション

No.2755千羽鶴




『昨夜未明、ジャニーズ所属のアイドル、関ジャニ∞の村上信五さんが、舞台稽古中に足の骨を折るなどの怪我をし、公演が予定されていました市内の病院で––』




「早く! 折って!」

「なあ、俺別に村上そこまで好きじゃねえんだけど」

「いいから! 村上の一大事なんだから! 早く千羽鶴とどけないと!」

「なんかさ、気持ちのこもってない鶴なんてもらっても嬉しくないやろ」

「半分は気持ちがこもってるからいいの!」

「じゃあ、別に1000羽折らんでも、500で送ればええやん?」

「そんなのだめ! 村上が数えたらどうするの! 『あれー? ミキちゃん、千羽鶴言うとるのに500しかあらへんやん。ごまかしよったで』ってなるじゃん!」

「そんなアイドルむしろ嫌やろ」

「だから! そうならないためにも! あんたも500折るの!」

「はあ。 まるで気が乗らん」

「なんで!?」

「いや、だから。村上そこまで好きちゃうし」

「じゃあ村上が死んでもいいっていうの!?」

「骨折やろ? 死なんやろ」

「でも、もしもがあるじゃん! そんな中でもこうやって悪口言えるの? 村上の前でも?」

「いや、本人を目の前にしてそんなこと言うたらただの鬼やし、人でなしやん」

「ほら!」

「ほらじゃねえやろ」

「……。じゃあ分かった」

「ん?」

「ちょっと待ってて」




『”オイラ伝説の”』

「はいはい!」

『「”無責任ヒーロー”」』

「……」

「はい」

「は?」

「やる気出たでしょ?」

「でるかーっ!」

「この曲知らない?」

「知っとるけどもや」

「じゃあいいじゃん」

「いや、なんか微妙っていうか。アトラクションを感じない」

「アトラクション?」

「ほら、魅力というか、心をひきつける感じというか。それがな」

「キモ」

「おい今『キモイ』って言ったか?」

「英語なんて使ってキモイって言ったの!」

「英語バカにすんなよ! interestingとか絶妙な意味を伝えたい時があるやろ!」

「別にあんたをバカにしただけで、英語はバカにしてませんー!」

「……。お前X JAPANの『紅』って知っとるやろ?」

「知ってるけど。急に何?」

「YOSHIKIが事故したら千羽鶴折るか?」

「……。は?」

「折るかって」

「……。お」

「お?」

「……。折る」

「折らんやん! 今の間、ゼッタイ折らんやつやんけ!」

「折るもん! あんたが990羽で、私が10羽折って届けるもん!」

「俺も別にそこまでX JAPAN好きちゃうからなー!」

「じゃあ、なんでそんな例えしたのよー!」

「なんとなく意味がつたわりゃええやんけ!」

「はー! もうあったまきた! YOSHIKIが入院したら絶対千羽鶴折るわよ!」

「なんでお前が乗り気になってんだよー!」

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