第2話 真夜中は別の顔

 俺は風俗に行くのをやめた。早く帰るようになって、同居人は喜ぶ。

 風俗に行かなくなると、むしろ精神的に落ち着いた。やっぱり、金を湯水のように使う生活は精神をむしばむ。俺は睡眠薬を飲んで早く寝る。すると、必ず怖い夢を見る。


 サウナにいると、知らない男に話しかけられる。

 俺は裸で、股間にタオルを置いている。

 話しかけて来たのは、マッチョでゲイっぽい人だった。俺を舐めるように見る。

 そこからレイプされる展開だ。複数の男がそれに加わる。

 なぜか体が動かない。

 叫び声を上げようとするのに、どうしても声が出ない。

 俺は言い聞かせる。これは夢なんだ・・・。


 風俗で100万くらい使ってしまったから、もう行くのをやめると誓う。

 お気に入りの子たちからLineが来るけどブロックした。


 やがて性病も治ってすっきりした。


 しかし、またかかってしまった。

 治療が不十分だったんだろうか。

 医者からパートナーにうつされたのではないかと言われる。


「あなたからうつって、その人が治療していなくて。と、いうのが時々ありますから。ピンポン感染っていうんですが、咽頭などに感染していて、それがオーラルセックスでまた戻って来る」


 俺は治療を初めて1か月後に再度検査して陰性になったはずだ・・・風俗にも5週間以上、行っていない。


 そう言えば、俺が治療を初めてしばらくしてから、同居人は熱を出して寝込んでいた。俺が病院に連れて行って、風邪薬を処方されて熱は下がったが。


 もしかして・・・。俺はショックだった。俺が睡眠薬で寝ている間に・・・。


「俺、性病になったんだけど・・・君も検査してみたら?」

「うん」

 彼は素直に従った。

「もし、陽性だったら『公園で知らない人の〇〇〇を咥えました』って言っとけば」

「うん」


 やっぱり、彼は陽性だった。

 俺は毎晩繰り返し、同居人にレイプされていたんだ。


 その日から、俺は寝室に鍵をつけた。

 もう、怖い夢を見なくなった。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フラッシュバック 連喜 @toushikibu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ