第8話
「ああ、淳美ちゃん。任せっきりでごめんなさいね」
佳奈子が、はっとした様子で立ち上がった。体勢が変わったことで、横顔に落ちた影を、白い日差しが
「とんでもないです。カボチャの煮つけ、ごちそうさまでした。すごく美味しかったです。あの、体調は大丈夫ですか」
「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
「菊次おじちゃん、寝ちゃいました。お喋りにつき合ってもらったから、疲れさせてしまったかもしれません」
「気にしないでいいのよ。若い人と喋るのが、あの人の元気の
そう言って笑った時だけ、
「今日のスパゲティ、さっき私もいただいたわ。バジルとトマトって合うのね。淳美ちゃんのお母さんが教えてくださったの?」
「そうなんです。母はよく料理番組を録画していますし、放送をまとめたレシピ本も出ているんですよ。びっくりするような材料を使っているものもあって、読んでみたら結構面白くて……」
平和な雑談に興じながら、頭の中は二人の
今の淳美には、力なく笑う佳奈子へ明るく接する以外に、気遣い方が分からなかった。
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