マサ以外私の体に触るんじゃねぇ!!

アイドルグループ「juice」のミキちゃんは、

サラサラボブに、ダイナマイトな胸。

今日のコンビニ、ミキちゃんの表紙の週刊誌が並んでたな。


マサは、まさに今、ミキちゃんとデート中。

あっ。もう、またオヤジギャグ言ってしまった。


「ねえ、私たち付き合ってるよね?」ミキちゃんが上目遣いで見ても

マサは一切無視。


「いい気味プププ」と、私は、メールの着信音で笑う。


マサは今のとこ本気で好きな女の子はいないはず。


でも…それもおかしな話だ。

高校生ならピュアな恋も経験した方がいいのに。過去に何かあったのかな。


トイレに行ったマサを見計らって、ミキちゃんは、いそいそとわたしスマホに近づく。


データが送れないのがわかってて、どうやら、マサのスマホから何かを盗もうとしている!!


パスコードを設定しているマサだから、大丈夫か。

あっでも「誕生日」とか簡単なのにしてないよね・・・

って思ったら、やっぱり、ビンゴォォォ!!!!


こんなの誰でも解除できるじゃん。

やっぱりちょっとマサっておバカなのよね。

まずい、このLINEは、このLINEだけはまずいよ。オーディションがだった証拠ぉぉぉ。マネージャーとのやりとりには危険がいっぱい。


でもミキちゃんは女の子とのやりとりばっかり見ている。イライラが指から伝わる。

汚いし、見ていいことなんて一つもないんだよ!?

浮気が発覚して(すると思うけど)もし、自分とのこと週刊誌に売ったとしても

「友達です」ってマサに言われて終わりよ?もう会えなくなって、ジ、エンドだよー!?それでもいいのー!!!??


しょうがない。

急に心は冷めたけど、マサのため。

私はありったけの熱を込め、自分の体の熱を中心に集めた。


「熱っ」

ミキちゃんはマサのスマホすなわちわたしを落とす。

痛っ。もう頭打ったんですけど!!


もう一度触ろうとするけど熱すぎて、

また落とす。痛ぇーもう泣きたい。

満身創痍ってこのこと。あ、こんな四文字熟語マサには伝わらないけど。


泣く代わりにビーという音を出してみる。なんの音か知らんけど。するとマサが急いで表れた。


「どうしたの?変な音したけど…え、俺のスマホ!?なんでここにあるの?」


「ごめんなさい」

ミキちゃんは、言い訳もなくその場を後にする。


マサは唖然としながらも独り言を呟いた。


「あぶねー。俺もそろそろ女を選んでデートしないと」

と呟いて、私をすぐに拾ってくれた。


マサの指の体温を感じながらわたしは、情けなくなってきた。

誰にも言えない恋。誰にも気がついてもらえない恋。


でも、好きな人に幸せになってほしいと思う恋だってある!!


ねえ、このままでいいの?こんなことして、マサも女の子も絶対幸せになれないんだよ?


スマホが壊れていないか、わたしの体を確認するマサの気持ちが嬉しいけど、同時に、泣きたい気持ちは収まらなかった。

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