第18話 決心

 散々泣き喚いた後、まだ、しゃっくりをしている私にタカナシさんがそっとささやいた。


「お嬢様」

「ん?」

「花火大会、行きたいですか?」

「……うん」


 私はうなづいたものの、正直、もうよくわからなかった。

 自分が花火を見たくて泣いているのか、それとも、氷川の檻に囚われていることに泣いているのか。

 だけど、私には自分の気持ちをまだ上手く言葉に出来なかった。


 タカナシさんは私の頭を撫でながら静かに言った。

「一つだけ良い方法があります」


「えっ」私が顔を上げると、タカナシさんはいつものようににっこりと笑っていた。

「タカナシがお嬢様を連れて行ってあげましょう」

 その時のタカナシさんの顔を今でも鮮明に覚えている。

 笑っているのだが、何かを決心したような、そして、寂しそうな表情をしていた。

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