神様はいない

朝目が覚めたら、大宮さんから、メッセージがはいっていた。


真白ましろも、一緒で良ければ、明後日と明明後日は休みですよ]


俺は、手帳を確認する。


明後日、休みだ。


はやては、どうだろうか?


「おはよう、凛」


「大宮さんから、メッセージきて明後日開いてるって、俺も休みなんだけど…。はやては?」


「待って、見るわ」


はやても、手帳を確認してる。


「大丈夫、休みだよ」


「じゃあ、明後日に決まりだな」


「うん」


俺は、大宮さんにメッセージを送った。


「あのさ、昨日ありがとう。」


「何だよ、急に」


「ちゃんと伝えなきゃいけないって、今回の勇気の件で勉強になったから」


はやては、泣きそうな顔をしていた。


俺は、はやてを抱き締める。


「自分で命終わらせるのは、やめろよ。はやて」


「しないよ。絶対…。」


「俺もしないから…。約束な」


「うん」


はやてから離れて、指切りをした。


はやてが、テレビをつけると50歳を向かえて結婚をした町田さんがパパになったニュースがやっていた。


「あの人も、パパか」


「なれるよな。だって、25歳差だっけ?」


「そうだ、俺と同じ歳だし」


「だろ?こうやって、勇気さんみたいな人、傷つけるんだよな」


俺は、パチンとTVを消した。


「凛、どうしたの?珍しく怒ってさ」


「子供欲しいなら、おっさんはさっさと結婚しとけって話だよ。」


「確かに、そうだよね。俺も、その気持ちはわかるよ。」


「町田さんに悪いけど、岡野さんも、但馬さんもだろ。おっさんが結婚してパパにってニュース。今年で、三回目。共演した事あるし、悪い人じゃないのは知ってる。でも、なんか…。勇気さんの件、考えると気持ち悪いわ、俺は…。」



コーヒーをいれる。


金も地位も名誉ももらって、おまけに子供まで授かって。


神様なんかいねーよ。絶対



「はやても飲むだろ?」


「ありがとう」


「神様なんかいねーな。」


俺は、コーヒーを飲みながら、はやてに言った。


「確かに、全部手に入れてる人いるもんね。何の努力もしなくても…。」


「わかる。俳優仲間でもいるだろ?努力してなくて、遊びまくってんのに、引っ張りだこだし。女に不自由せず、結婚もして、子供も三人もできて」


『鎌田』


俺とはやては、ハモった。


「それ、それ。独立もするらしいよ。来月」


「五年先まで、仕事決まってるって話。」


「すげーよな。あの人と共演したら、ほとんどアドリブだからね」


「脚本家泣かせで有名だよ。あの人」


「なのに、主演バンバンはれちゃうんだよな。正直、何で使われてるか謎だよな」


「アドリブについていけなかったから、台詞ごっそり減らされるって。俺もされたし」


「俺もだよ。吉宮は、笑ってるだけでとかな」


「なんか、神様っていないんだろうね。」


「わかる。鎌田は、何でも持ってるから…。」


朝から、はやてと憂鬱になってしまった。


「もう、この話しはやめない?何か、凄い惨めになる。俺と凛だって、頑張ってきただろ?だから、こどはやに選んでもらえたんだし。って俺は、凛が選んだんだけどさ」


「でも、確かにそうだよな。鎌田は、13歳からずっとスター街道まっしくらだからな。俺達だって、頑張ってきたよ。だから、今忙しいんだから…。それに、鎌田側から共演NG出てるから」


「あー。それ、俺も出てる。アドリブ下手だからってさ」


「ってか、脚本家さんの台本の台詞。全部アドリブにするってどうなんだろうな?話し、繋がってなかったじゃん。」


「あー、[真昼に会いましょうね]わかる。全然話し繋がってなかった。」


「あれで、視聴率二桁はやらせだってかっちゃんが吠えてたわ。」


「[嘘つきは、夜に泣く]の裏番だったよね。」


「そう。そっちは、一桁だからさ。って、やめようか…。朝から、鎌田の愚痴はキツいな」


「だね、やめよ。やめよ。」


俺とはやては、別の話を考える。


覗いたスマホには、おじさんの出産ラッシュのニュースと鎌田のCMのニュースが、表示される俺は、スマホを裏返した。


神様なんて、存在しないな。


そう思って、今日1日を過ごす事になってしまった。

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