凛とはやてのデート

俺とはやてが、付き合ってるのを知ってるのは、俺のマネージャーのかっちゃんとはやてのマネージャーの海ちゃんと、双方の事務所の社長だ。


「海ちゃん、内緒だからね」


「わかってます。はやて君」


大宮さんに、会いたくて弁当屋に連れてきてもらった。


かっちゃんには、怒られるから内緒だ。


「ここですね」


「うわー。すげー。人気だな」


「じゃあ、おりるわ。」


帽子を目深に被り、マスクをするはやてと俺。


誰も気づかないのは、いるわけないと思ってるからだよ。


「大宮ちゃん、のり弁ね。」


「はーい」


はやてと顔を見合わせた。


「いらっしゃいませ、ご注文は?」


「えっと」


はやてに、肘で殴られた。


声で、バレるの忘れてた。


「ハンバーグ弁当と唐揚げ弁当と焼き肉弁当とヒレカツ弁当ですね。少々お待ちください」


大宮さんは、そう言うと中に注文を通していた。


はやてに、引っ張られて横で待った。


暫くすると店長と呼ばれる人が、やってきた。


あっ!!この人が、彼女だ。


大宮さんが出す雰囲気が、一瞬で変わった。


ヤバい、この人と仲良くなりたい。


「お待たせしました。」


弁当を受け取って出た。


車に戻った。


「お帰りなさい。帰りましょうか」


「はい」


海ちゃんは、車を出した。


「すごい人気でしたね。」


「そうだね」


「主要都市からは、だいぶ離れてるのにね」


「確かに」


はやての家に、連れてきてもらった。


「タワーマンションに住みたくなかったな」


「戸建てが、よかったんだよな。」


「うん」


弁当をテーブルに置いた。


「海ちゃんは、食べる?」


「いえ、帰ります。ごゆっくり」


「お疲れ様です。」


海ちゃんは、帰って行った。


「大宮さんの彼女って、店長だよね?」


はやては、お茶をいれて持ってきた。


「気づいてた?」


「うん。簡易の味噌汁飲む?」


「いる」


はやては、味噌汁にお湯をいれてくれた。


「雰囲気が、一瞬で変わったよね。店長が、きたら」


「うん。俺、仲良くなりたくなったよ」


「ねー。ダメ元で、手紙出してみたら?」


「連絡先どうやって教えるんだよ。」


「手紙に書けばいいじゃん。」


「他人が開けたらどうすんだよ。」


「そうだなー。ちょっと考える」


そう言って、はやては、お弁当を袋から出してる。


「Blu-rayもらった?」


「こどはや?」


「省略すんなよ。」


「みんな、そう言ってるよ。もらった。見る?」


「うん。後で、見る」


「じゃあ、食べようか」


「いただきます。」


俺とはやては、弁当を食べる。


「この、七味マヨうまいよ」


「この、ハンバーグうまいわ」


全部、美味しかった。


「ごちそうさまでした。」


「うますぎた。」


「差し入れに使おうかな」


「来月、舞台だっけ?」


「そうそう。だから、使おうかな」


「あー。」


「何?」


「試写会に呼べばいいんじゃないか?」


「何の試写会?」


「来週、【鈍色の恋】だよ。」


「あー。ナリミちゃんと初共演の映画ね」


「試写会チケットあるんだよー。両親に渡す予定のが二枚」


俺は、チケットを財布から取り出した。


「レターセット持ってるよ」


はやては、可愛いパンダのレターセットを渡してきた。


「じゃあ、書くよ」


「うん」


俺は、大宮さんに手紙を書いた。


「切手もあるから、明日ポストにだそう」


そう言って、はやては何故か80円の切手を二枚貼った。


「戻ってきたら、嫌だからね」


「そうだな。」


「じゃあ、見ようか?こどはや」


「だから、略すなよ」


「ビール飲む?」


「うん」


はやては、ビールとあたりめを持ってきた。


【鼓動の速さでわかる事】のBlu-rayを再生する。


「これ、めちゃくちゃ好き」


はやては、俺の頬にキスをした。


「俺達、みたいだよな。」


「うん、そうだね」


撮影期間は、半年だった。


楽しかった。


恋人のフリをしながら、楽しく過ごせた。


恋人だって、嘘つかなくてよくて楽しかった。


映画が始まって、はやては俺の肩に頭を置いた。



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