第12話 真相

牢屋の中に捕まっていたお父さん。ついに私は再会する事が出来た。


「お父さん……」


その声を聞いたお父さんは後ろを向いた。驚いた顔で


「真澄……」


そう声を上げた。


「会いたかったよ。お父さん」


私達は牢屋越しに抱き合った。


「よく来てくれたな」


「うん。ここまで来るのに大変だったんだから」


涙を流しながら、私達は10分ぐらいずっと抱き合っていた。そして、体を離して、


「私、お父さんにキツイ言葉かけてごめんね」


私はお父さんの前で土下座をした。


あの日からずっと前に後悔していた。


お父さんが死ぬと分かっていれば、もっと優しく接していたのに。


人間の死は突然訪れるものだと改めて感じた。


「こっちこそ。誕生日プレゼント用意できなくてごめんね。これ、あげるよ」


お父さんは魔法の杖を私にくれた。


「これって……魔法の杖?魔法の杖ならもう持ってるけど」


「この魔法の杖はお前に似合うと思って作ったんだ。いつか私を助けに来ると信じてたから。この杖は全ての魔術を使う事ができる最強の魔法の杖だ」


「ありがとう」


「どういたしまして」


「ねえ、お父さんはここで何をしてるの?」


「私は異世界転生について研究してるんだ。そこで、記憶のカセット50枚で来世も転生できる薬を1つ作る事に成功したんだ。それをクロンに飲ませて、使えるかどうかを研究していたんだ」


「そうなんだ……」


「でも、今、城に保管されていた記憶のカセットの枚数が減ってるんだ。だから来世も転生できる薬をもう作れなくなってて……。きっとヴィラン女王が何とかしてくれるだろう」


「じゃあお父さんはもう現実世界には帰りたく無いの?」


「うん。もうこの世界で死んでも良いと思ってるよ」


「何で?お母さんが現実世界で待ってるよ」


「私が死んだのも必然的だったんだ……」


「必然的?どう言う事?」


「私は死ぬ瞬間、犯人の顔を見たんだ」


お父さんを殺した犯人をお父さんは私に教えてくれた。私は絶望した。


「え……何で?」


「私を殺した犯人こそ2代目ヴィラン女王だったんだ。この異世界で、私を利用したかったんだろう。」



カタンコトン カタンコトン



足音が地下に響き渡る。


「やっと真相に辿り着いたか。ビラ」


そこに現れたのはティランだった。


「ティラン……あなたがお父さんを殺したなんて」


「私の前世での名前は理沙。あなたを近くでずっと見ていました。あなたを守るために」


「理沙!?」


私の唯一の友達だった理沙が私のお父さんを……。


「あなたを守るためってどういう事なの?」


「あなたの名前のビラは偽名。本当の名前はヴィラン。あなたこそ初代ヴィラン女王なのです」


〔現在の記憶のカセットの枚数 30枚〕

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