第8話 謎解き

次の日の朝、目が覚めるとそこは洞窟の中だった。


昨日までヴィラン町で楽しく祭りをしていたはずなのに。


いつのまにか洞窟に来ていた。


「ビラ、やっと目を覚ましたか」


目の前にはティランがいた。


「ティラン、何で私達はここに居るの?」


「それが私にも分からないんだ。いつのまにかここに居たの。さっき洞窟の中を探索したけど、出口は見つからなかったよ」


「そうか……」


「でも、あれを見て」


ティランの指差す方に言葉が記されていた。



【2回転生をした者に来世は無い】



「ティラン、どう言う事?」


「人間は何度も転生を繰り返して生きているんだ。ただ転生の回数は2回と法律で決まってるんだ。ビラはもう2回目だよね?」


「え?2回?私、まだ1回しか転生してないけど……」


「あっ!?そうか。ごめん。ごめん。勘違いしてたわ。じゃあもう1回転生できるんだね」


この世界でもう1回死んでも何とかなると言うことか。


「ねえ、まだ続きが書いてあるよ」


私はその文字の下に薄い字が書かれていることに気づいた。


【この洞窟に潜むのはレベル90のオオカミ。目が合うだけで殺される。今すぐここから逃げろ!!】


私の足と手は震え始めた。


「ティラン、早く逃げようよ……」


「うん」


私達は全力で出口を探した。しかし、見つからなかった。また壁に文字が書いてある。


【この洞窟から出たいのなら謎を解け!!】


「え!?謎を解くの?ティランは謎解きは好きなの?」


「う、うん」


誤魔化しているように見えた。私も謎解きはあまり得意では無い。


【第1問 

ムーン⇨月=Mnの時、

クール⇨かっこいい=Clをこの壁にかけろ】 


「ティラン、何か分かった?」


「うーん……。何で1文字目が大文字なんだろう……」


周りを見渡すと上から水滴が落ちてきている。さらに向こう側には海水が溜まっている。どこからその海水が来たのか分からないけど……。


「ガルルル、ガルルル」


洞窟の奥からオオカミの声が聞こえてきた。


「早く解かないと……」


なぜ1文字目が大文字なのか……。1文字目が大文字な奴なんかあったかな……。その瞬間、前世の記憶が蘇った。





『真澄、今日も小テストあるよ!!』


友達の理沙りさが話しかけてきた。


『何の?』


『元素記号のテスト……』


『あ!?やってないわ。すぐに覚えれそうなのある?』


『うーん。私は、塩素のClはイケメンのイメージで覚えたよ』


『イケメン?どう言う事?』


『oをつけたらcoolになるじゃん!!』


『確かに!?』





「ティラン、私、分かったよ」


「え!?分かったの?教えてよ……」


「mとnの間にoを入れたらmoonになるよね?その感じでclの間にoを入れたら……」


「cool?」


「それが=(イコール)の前の日本語訳になるんだよ。つまり答えはCl。塩素を探せばいいんだよ」


「塩素なんてどこにあるの?」


「海水をこの壁にかければいいんじゃない?」


私は手で海水を掬って壁にかけた。


すると、壁は自動で右に動き、通路が開いた。


私達は先に進んだ。


その先に待っていたのは


【第2問 r=○③○○

     R=①②○

     ①②③⇨□□を起こせ!!】


「また謎だ……」


「ガルルル」


どんどん近づいてくるオオカミ。この謎を解いて2人は洞窟から脱出出来るのか……。


〔現在の記憶のカセットの枚数 25枚〕

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