第7話 それぞれの役割

私達がたどり着いたのは小さな町。


この町の名前はヴィラン町。


かつて、ヴィランという悪の王女がこの町を支配した事からその名前が付いたと言われている。


ここでは最初の選択で【商人】を選んだ者がたくさん住んでいる。


【商人】のミッションは200万円稼ぐ事。


1つクリアするだけで現実世界に戻ることが出来るらしいが、200万円なんて稼ぐのは不可能だ。


私が町の中を歩き始めると、悲鳴が響き渡った。


「キャーー!!みんな逃げろーー!!」


その町に現れたのは巨人だった。レベルは70。アーサーに匹敵するレベルだ。


「ビラ、戦うよ」


「うん……」


でも、その大きさは私たちの50倍はある。


そんな巨人に勝てるのか……。


手と足が震えていた。私達2人で倒せるのか……。


町の【商人】はみんな、逃げていき、町に残ったのは私達だけとなった。


「ティラン、やっぱり勝てないよ……。あんな巨人には」


「うん……」


その時だった。


バン!!


巨人の胸を弾丸が突き通っていった。

巨人の後ろには10人ぐらいの【狙撃手】がいた。


「俺たちのミッションはこの巨人を倒すことだから。俺たちに任せとけ!!」


そう言うと10人でその巨人を囲い、一斉に砲撃を始めた。


「私達も続くよ」


「うん」


「タイムストップ!!」


ティランが巨人の動きを止め、【狙撃手】達は大きな砲丸を打ち始めた。


巨人の体力は明らかに減っている。


私も戦わないと……。


「炎の魔術!!」


私の魔法の杖から放たれた炎は今まで以上に強く燃え、巨人の顔に直撃した。


レベルが20になったからだろうか。


巨人の時が動き出し、突然暴れ始めた。


【狙撃手】達は巨人に向かって同時砲撃を始めた。


次第に巨人は落ち着いてきた。


そして、ゆっくり倒れていった。


巨人が落としたカセットは20枚。


それをみんなで分けた。


私とティランにそれぞれ5枚くれた。


浮かび上がった写真は大きな城のような物だった。


きっとそこにお父さんが居るのかな……。


逃げていた【商人】達が帰ってきた。


「皆さん、ありがとうございました」


【商人】の代表が私達にはお礼をしてくれた。


「あの、お礼にお祭りを開催するので皆さん、来てください」


そして、巨人を倒した事を祝ってお祭りが開催された。


沢山の屋台が出て盛り上がっていた。


私はポテトやかき氷を食べながら楽しんでいた。


でも、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。


1人の女の人が私の所に近づいてきて、私の頬にビンタをしてきた。


突然の出来事で私は何が起きたのか分かっていなかった。


「何で……」


「あなたが私のお父さんを殺したんですよね。私はまだ許してませんからね」


「何か勘違いじゃ……。私はそんな事はしてません」


「いや……勘違いじゃないわ。その顔……。私は1度も忘れた事が無いから」


そう言ってその女の人は去っていった。


私には何の事か何ひとつ分からなかった。


〔現在の記憶のカセットの枚数 25枚〕

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