5. 5級ポーション

 私たちは、村長さんがまず手本を見せ、その後に1人ずつ5級ポーションを作った。

 調合に使うのは、村長家据え置きの調合セット台だ。

 作り方は以下の通り。

 まず、薬草5個の葉っぱを細かく千切ってすりつぶす。お湯を沸かして、その中に葉っぱを入れる。

 最後にこして、空き瓶に入れれば完成だ。

 緑色をした液体である。


 ●5級ポーション

  渋みがある。一番レベルの低いポーション。はっきり言えば不味い。

  種別:ポーション、飲み物

  レア度:1  ランク:2

  HP回復:1分で50上昇

  満腹度(水分):4上昇


 効果は初心者ポーションと同じ。まだ飲んでないけれど不味いらしい。

「みなランク2だな。最初にしては上出来じゃな。回数をこなせばより良くなるぞ」


『「村長の薬草採取」をクリアしました。経験値+100』

『レベルが2になりました』

『「村長の薬草採取」(2回目)をクリアしました。経験値+50』

『「村長のポーション作成伝授」をクリアしました』

『生産スキル「薬師」を取得しました』


 システムメッセージが表示された。採取は20個だったので2回分らしい。


「ありがとうございました」

「他に聞きたいことはあるかのう?」


 クルミが質問する。


「あー。ウサギの肉も5個取ってきたけど、まだ料理できなくて、どうしたらいいと思いますか?」

「そうじゃの。その囲炉裏の少し離れたところに置いて、ウサギの干肉にするといい」

「なるほど」

「もしくは、串に刺して焼けば、ウサギの串焼きになるぞ」


 串がない。村長に貰えばいいけれど悪い気がする。

 ウサギを干肉にすることにする。

 包丁を借りて、3つに切った。

 味付けの塩は頂いた。


「なに、15分ぐらいでできるじゃろう」

「はや!」


 ●ウサギの干肉(塩味)x15

  塩味と肉のうまみが凝縮してうまい。保存食になる。

  種別:食べ物

  レア度:1  ランク:2

  満腹度:30上昇


 ウサギ肉1つあたり3つに切ったのでアイテム数も3倍扱いらしい。


『「村長の料理作成入門」をクリアしました』

『生産スキル「料理」を取得しました』


 スキル薬師と料理を取得した。生産の第一歩だ。


「料理場所と調合セットは、他の人が使っていなければ、いつでも借りに来ていいぞ」

「ありがとう。あ、そうだ、村に宿屋はありますか?」

「お隣がそうじゃ」

「ありがとうございます。では、さようなら」


 外はもう夕方になっていた。


「じゃあ、まだ早めだけど宿に泊まろうか」

「あー。問題があ~。わたしたちお金ないよ。どうするハニ~」


 クルミが問題点を上げる。

 所有物で売れそうなものは何か。

 ポーションは村長に渡してしまった。薬草は残り4個。干肉が15個、毛皮が5個だ。

 その辺の村人に聞いて、雑貨屋に向かう。


「雑貨屋のジェイクだ。何かお求めかい? それとも買い取り?」

「私たち、宿屋に泊まりたいけれど、お金がなくて、買い取りできる?」

「もちろん。宿はログアウト部屋なら50セシル、泊まりなら200セシルだな。ああ食事は別で50セシルだったはず」


 毛皮が1個100セシル5個500セシルで、薬草1個80セシルで4つ320セシルで、合計820セシルを入手した。

 ウサギの干肉は1個40セシルだったが売らない。


「毎度あり」


 お金を手に入れたので、さっそく宿屋へ行く。

 お金を払って、夕ご飯と1泊の料金を払った。残り70セシルなり。

 夕ご飯は、ウサギ肉が少し入った野菜スープと固いパンのようだ。

 三人はそれぞれの狭い個室に引き上げて、さっそく寝る。

 部屋も布団もいい物とは言えないが、しょうがないだろう。


 なお、このゲームでは町では宿屋、外では安全地帯以外のところでログアウトすると、抜け殻がしばらくその場に残り、再ログインした時にHP/MP/満腹が半分になってしまう。

 また、他人の店の中でログアウトすると、外に出現するようになっている。


 とりあえず、ゲーム内で寝るなんて変な感じだけど、おやすみなさい。

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