第50話疑念

(注意❋今回の表現は、某他社小説投稿サイト掲載文より軽くしております)


******************

クロの部屋は、王の部屋と呼ぶに相応しい。


あまりに広く…


輝くような純白の壁と…


そして、見ただけで高価と分る、装飾の美しいあらゆる調度品に溢れている。


そんな静かなクロの部屋に、理久とクロが抱き合いキスを交わす音だけがする。


「くちゅっ…くちゅっ…くちゅっ…」


理久の口内に入り込んだクロの舌は、最初理久の舌をあやすように、優しく柔らかく接触してきた。


そしてその内、クロの逞しい体は理久の体を優しく押し…


理久の体は、クロと壁に挟まった。


やがてさっきの…


クロの鋭い牙での、理久の唇への甘い甘い甘噛みで感じた気持ち良さも手伝い、理久の膝がカクカクとし始めてきた。


理久は、本当に気持ち良かった。


心地良い温度の湯の中で、理久がクロに甘やかされ、トロトロトロトロ溶かされてゆくようだった。


そして、理久の下半身は、もうすでに固くなっていた。


クロは固いそれに、理久とクロのズボン越しに、クロ自身のやはり固くなっている下半身をゆるゆる擦り付け始めた。


クロの下半身は、理久より固く大きいのが布越しでもハッキリ分る。


だがこのままだと理久は、ズボン越しの浅い刺激だけで、情けなく下着の中で一人果ててしまいそうで焦った。


しかし…


徐々に…徐々に…


クロの舌は、強引に強く理久の舌に絡まってきた。


「うっ…うぅん…」


理久がキスの最中なのに、息継ぎすら忘れそうになり、気持ち良さに吐息を漏らすと…


クロは、急に喉を鳴らした。


「グルルルッ!」


クロのその、人ならざる低い音は明らかに、クロが獣の血を引く獣人である事を現している。


そしてクロはクロの舌を使い、今度は激しく理久の舌をクロの口内に連れ込もうとした。


「んんっ…」


理久は、又交接中の唇から、甘い息を漏らし…


クロの誘惑に切ないほどに従順に乗った。


今度は、理久の舌がクロの口内に入る。


すると間髪入れずクロの牙が、今度は理久の舌を甘く甘く甘噛みし出す。


思わず理久は、目を見開いた。


今、クロの鋭い牙で理久の舌が噛みちぎられれば、理久はひとたまりもないだろう。


そしてそれは、ほんの簡単な一噛みだろう。


だが、そう冷やりと感じたのは…やはり一瞬だった。


その感覚はすぐにゾクゾクとした快感に変わり…


クロの甘い甘い甘噛みは、理久の舌をも溶けそうにさせた。


そして理久は、クロが理久の世界で犬の姿だった時、兎に角、理久の指をやわやわと甘噛みするのが大好きだった事を思い出した。


しかもそれは、いつも長時間執拗な程だった。


今度はあんな執拗な甘噛みを、理久の舌にされるのかと想像すると…


「んんんっっ…」


理久は、クロの唇を吸い離さないまま、気持ち良くて又声を出した。


だがそれがやがて、さっきから快楽に打ち震える理久の膝を完全に立っていられなくした。


ガクッと急に理久の膝が崩れ、理久はその場にヘタリこみそうになった。


「理久!」


さっと素早い動きで、クロが理久を助けに入る。


しかし、同時にクロは…


理久の膝が震えていたのは、もしかしてやはり、理久が恐怖をいだいているのでは?と思ってしまった。


理久の下半身が勃っていたのはクロも知っていたが、それはあくまで男である以上仕方無い反応で、刺激でそうなっていただけで…


本当の所理久は、獣人のクロを恐れているのでは?と、クロは疑念をいだいてしまった。














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