三題噺「心臓・クッキー・毛布」

 僕の心臓はクッキーで出来ている。なので叩くと死ぬ。


「よっ、おはよ!」


 そして今日もバーンと背中を叩かれ、心臓が砕けて死んだ。


 死んだ僕は再利用される事となり、捏ね直されてまた生活に戻る。

 何故か心臓はまた簡単に砕けるクッキーだ。

 どうしてと訴えても『そういう物だから』と言われてしまう。


 仕方ないので今日も僕は死に怯えながら生活を始める為に外に出る。


「あっ、ごめんなさい」


 そして一歩踏み出した所で子供とぶつかり、胸に衝撃を受けて死んだ。

 また心臓が砕けた。そしてまた捏ね尚されて僕は生まれる。

 心臓は何時もの様にっクッキーだ。余りにも壊れやすいクッキーのままだ。


 それでも僕は生きろと外に追い出され、今度は少しでも衝撃を減らそうと毛布を纏った。


「何変な事してんの。そんな事してる人普通居ないよ。ほら取って取って」


 すると突然毛布は奪い去られた上に、押しだされた際に転んでまた心臓が砕けた。

 そして捏ね直された後また外に出され、何をしようと僕の心臓は砕かれる。


 何で僕の心臓はこんなに簡単に砕けるのだろう。こんな心臓は嫌だ。

 僕も普通に生きたい。砕ける様なクッキーになんてなりたくなかった。

 そんな想いを持っても私の心臓はクッキーで、今日もまた何時もの様に砕ける。


 そうしてきっと僕は、何度も何度も砕け、いつか捏ね直せない様になるまで砕けるのだろう。

 自ら戻れないぐらいに砕ける事も出来ないから、捏ね続ける人が諦めるその時まで。

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