第8話 存在感〜あなたは私の運命の人〜

あの後、日賀の親が迎えに来た。


通り道でもあり、私の家まで送ってくれたのだ。


日賀と一緒に日賀の母親が状況を、母親に軽く説明し、母親はショックを受け、恐怖から、一人になりたくないのもあり今日一日だけ、日賀にいてもらう事にしてもらった。


その後も、心配して出入りさせて欲しいと日賀本人は頭を下げていた。


それからしばらく私は学校を休んだ。


学校に行くも私は、前よりも悪い方向に存在感が一気になくなった。


日賀は気を遣ってか、声を掛けてくれていた。



「慶亮君、無理、無理。もう、あんな子、無視しちゃいなって」


「そう、そう。だって、“うん”とか“そう”とか……何か一気に急変したよな?谷神ってさ」




「………………」



「何か…いるのか、いないのか…存在感なくなってきてる感じだよね」


「そう、そう」



「確かに、そうかもしんねーけど、アイツは、ここのクラスじゃん!転入して来て、ここまで来れたのも、みんなが良く接してたからだろう?存在感がなくなってもアイツは、谷神愛霞は存在してんじゃん!」



《…慶亮…》




「見捨てるような事すんなよ!クラスメイトなら最後まで卒業するまで一緒に笑ったり泣いたりしてやれよ!心の奥でも隅でも良い!卒業しても永遠の思い出のアルバムのページに存在してんだからさ」




「………………」






ある日の学校帰り、ぼんやりと帰っていた。





ふと 店に立ち寄ったり


ふと 足を止めて


街並みを見てみたり……



自分という存在


自分と見つめ直していた




本当に


このまま


終わって良いのだろうか…?



後 一年の高校生活


後 一年の青春時代を


何気に過ごしている


今の自分に嫌気が差していた






その日の夜。




ベランダで、ぼんやりしている私。




そこへ――――




「ねえ、彼女。美人じゃん!」



ビクッ


声のする方に目をやる私。



ドキン



「…慶…亮…」

「何してんの?なあ、家抜け出して遊びに行かね?」




私は慶亮の元へと行く。




「慶亮!」と、胸に飛び込む。



「うわっ!何だよ!つーか…今、名前呼んだ?」


「うん…呼んだ…」



そう言うと、顔を上げる。



「駄目…?」



「いや…。…で?どうした?」


向き合う私達。



「…私…ありのままの自分でいたい…」

「えっ?」


「慶亮だけに自分を知ってもらうより、もっと、もっと…たくさんの人に自分を知ってほしいの」


「それで?」


「…私…ありのままの自分で…学校へ行きたい!!」



「………………」



「みんなに、どう思われようと、私、生まれ変わって本当の姿の私でいたいから」



「………………」



「ねえ何か言ってよ!」



微笑む慶亮。


ドキン




「例え性格とかが変わっても、お前はお前だろ?」

「…慶亮…」


「だから、ありのままの本当の自分で学校へ来いよ!待ってる」


「…慶亮…うんっ!」



「何かあったら俺が味方になるし、俺がいるから心配すんな」


「うん…でも…慶亮…たくさんの彼女がいるじゃん。モテモテだし…」


「…そういうお前もモテモテになるんじゃねーの?」


「…私は…」




スッと片頰に触れる。



ドキン




「だけど、そうなる前に…俺が渡さねーけど」


「えっ…?」


「どんだけイイ女が山程いても、心の女は、たった一人だけ…遠くから見て来て本当はスッゲー、みんなの中に入りてー顔して…声かけたら“別に”とか“あっそ”とか素っ気ねー態度。ムカつくとか思った時、多々あった」




「……………」



「…でも…それが…急に、もっと素っ気なくなって…存在感がなくなってきて…このまま大丈夫かな?とか…逆に更に心配になって…学校来なくなるんじゃねーかって…」



「…慶亮…」



「ありきたりな言葉では俺的には物足りねーし…正直…俺の今の想い…ぶっちゃけ俺だけの女になれ!」


「えっ…?」




キスする慶亮。

ドキッ



「…なってくれるよな?」


「…それは…で、でも…」


「お前、好きだったんだろう?あんな事になって一瞬にして、気持ちが冷めたんだろう!?違うか?」




「………………」



「ゆっくりでいいから…俺と向き合って欲しい…」


「…慶亮…うん…」




グイッと後頭部を押し、強引なキスをされた。


唇が離れ、今度は、優しくソフトに何度も向きを変えキスをされる。



「………………」



優しい眼差しで見つめる慶亮。


その仕草に胸がざわつき、ドキドキ加速する。


グイッと抱き寄せられた。



「…お前…顔のわりには、その反応可愛すぎなんだよ」



かあぁぁぁぁ〜っ!


か、可愛いいって…ストレート過ぎ!!





そして、次の日、学校へ向かっていると。



グイッと背後から肩を抱き寄せられた。




ビクッ



「きゃあ!」


「お前ん家寄ったら、先に行ったって」


「…えっ?」



振り向く視線の先には




「慶亮」


「あっ!一応、眼鏡かけてんだ」


「うん…急には無理だから…学校でだけ素顔でいようかな?って……」


「あー、俺的には眼鏡、ずっとしていてほしいけど」


「えっ!?」


「だって妬くし!俺…独占欲強いって言ったじゃん!」


「…あー…そうだったね…」


「あっ!そうそう。お前との事ハッキリ言わせてもらうから」


「えっ…?」


「付き合ってます宣言!」


「嘘でしょう?」


「本当」




「………………」



「だって、お前なモテんの目に見えてんだよ!」


「そういう自分だってモテモテじゃん!」




私達は騒ぐ中、学校へと向かう。




そして――――




「つー事で、俺達付き合ってま〜す♪」

「つーか、正に美男美女カップル?」

「マジかよ~。慶亮、ズルくねーか?」



そんなこんなで、私達の学校生活が始まるのだった。








あなたは


運命を


信じますか…?




正直


運命なんて


そう思うけど




もし 本当に


出逢う事が出来たなら


その人と


恋に落ちて


幸せな日々を


送りたいよね…?







〜 E N D 〜

















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運命の人 ハル @haru4649

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