Have My Soul
KEIV
"WHY CAN'T I SEE ???"
「ねぇ。あなたは何を望んでいるの?」
ふとエディット画面の小窓に映る『VOCLOID4 初音ミク』が問いかけてきた気がした。
─彼女は、CFMが販売する、VOCLOID4対応音声ライブラリならどれでも動かすこともできるエディタソフトウェア『Piapro Studio』と楽器音源が入った『DAW』が付属しおよそ3万円という破格の値段で販売されている、初導入のボーカロイドでありうちのボーカロイド達の一女のような立ち位置でもある。
ちなみに家族構成として、二女のMegpoid(GUMI)と三女のv4 flowerがいる。その2人に関しては、今作詞中でそれぞれの癖を掴む為にもちまちまいじってる最中。まぁそんなところだ─
「にしても、『何を望んでるか?』かぁ……」
特に望みはない。多少のお金や努力は必要とはいえ、実現可能なことしか願ってこなかった自分に聞かれてもな……
自分に夢は無い。自分の中の夢の定義は『努力しても叶わない望み』で『努力して叶う望み』は夢でなくやりたい事でしかない。更に言えば無意識のうちにリスクや可能性、実現可能かを評価してしまい夢候補が『無価値な想像』となるか『やりたい事』にしかならない。故に夢も望みも無い。
あぁ。でも1つだけあったかも。『命なんて持たなければよかった。魂なんて持たなけれな良かった』ってね。苦しみはいつからか自分を蝕んでいて、喜びや楽しみを感じる余裕を消すほどに巣くっていた。何よりも苦しみが、痛みが上だった。喜びや楽しみを感じることのメリットよりも苦しみや苦痛を感じることのデメリットの方が大きくなっていた。ただただ苦しみや痛みから逃げたかった。だから、痛みも苦しみも喜びも楽しみも全て捨て去り虚無へ進むための最後の苦痛を。
資産価値が十分あるものは全部車のトランクに移して車ごと移動させる。車のカギは落とし物として近くの交番に持っていたし、不審車両としてあの車が見つかったら多分開けてくれるだろう。前ナンバーのボディーとナンバープレートの隙間にメッセージカードを挟んでおいたから気付くはず。仲良かった人全員に例のデータが入ったmicro SDカードやUSBメモリー、スティックSSDにポケットHDDは渡し終わってるし。閉じきったカーテンの中に残るのは作詞・作曲・編曲の痕跡が残るPCやスマホと隠し情報の原案や本案のメモの山。幸いにも木造ボロめの一軒家で周りが開けてるとあって丁度いい。世界で最も苦しいと言われているこれさえ過ぎれば…………
"i'm gonna burn my house down into an ungly black."
"i'm gonna run away now and never look back."
その場で立ち尽くした自分はこう呟いた。
「もう、振り向かない」
"PLEASE CAN I BE...free?"
""内はCRUSHER-P発表の楽曲『ECHO』より一部抜粋
楽曲詳細
VIDEO:MYSTSAPHYR
VSQ/MASTERING:CIRCUS-P
SONG+ART:CRUSHER-P
ボーカル:GUMI English
Have My Soul KEIV @3u10REAPER
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