あの人に伝えたい、たったひとことだけ

文芸部の部室は、長年の湿気ですっかり古びた畳の部屋の真ん中にぽつんと机と椅子が置かれている。
もともとは茶道部の部室だったのかもしれない。
取調室か独房、座敷牢的なイメージをしてしまう。
主人公の孤独、あるいは監視対象にある暗示かしらん。
そんな場所で二人が文芸部の活動をする。
二人にとっては、特別な時間なのだ。


彼女は告白をするために天国からやってきたのだ。
彼女は人生を、自分の一生分という短いものさしで考えていない。
対して主人公は、自分の一生だけしかしらない者の背伸びをした告白をしている。
両者、それぞれの立場にそった告白と微妙なずれが、上手く書けている。

来世では幸せになりますように。

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