第2話 『 Secret 秘密 』

2.


 お互いに座るとパラパラっとメニューをめくって見る。


 「何にします? 」


 「コーヒーに・・」


 ウエイトレスが注文を取りにくると、私はコーヒーをふたつ

頼んだ。


 「私、このお店には何度か数えるほどですけど、来たこと

あるんですよ」


 「私はこの周辺はちょくちょく来ますけど、こちらは初めてです」


 私たちは飲み物が来るまでの間、当たり障りのない会話で

やり過ごした。

 


           ・・・


 「え~っと自己紹介させていただきますね。

 改めまして、わたくし白木咲子といいます」


 「あぁ、私は友子って言います。字は友達のとも、です」


 「私は花が咲く、の咲子です」


 「「・・・」」


 「もうお話できるのも今回が最初で最後かもしれませんから

知りたいこととか、単刀直入にお話させていただきますね。


 哀川くんが結婚していて、子供までいたなんて。

 知らなくて、動物園で見かけた時はビックリしました。

 あぁ、ごめんなさい。


 もう私たちの年齢だとそういうの、おかしくないんですけどね。

 なんか、気持ちがいつまでも学生時代のままなものでスミマセン」


 「いえ。

 今は男の人も女の人も28.9だと独身者多いですから」


 「早い人は早いし、30代、40代でも独身でいる人も昔に比べると

随分と多いですよね・・って、私もその内のひとりなんですけどね。haha..あの、友子さんたちって・・あぁ哀川くんと友子さんね、その

どうやって知り合われたんですか? 職場恋愛とか? 」


 「お見合いでした」


 「お子さんの年齢から遡ると結構早くに結婚されてますよね? 」


 「私は翔平さんの2コ下ですから、えっと私が22才翔平さんが

24才の時に結婚しました。お見合いしてから1年とちょっとで」


 「哀川くん、24才の時にはもう結婚してたんだぁ。

 私ったら、そんなこととはつゆ知らず・・ずっと彼のこと

思い続けてたんだ。ヤダ..私ったら..マヌケ..」


 待ち続けたといっても、誰とも付き合わなかったわけでも

なかった・・のだが。


 「あのぉ~、白木さん? 」



 「私ったら、最初にご挨拶した時、哀川くんとは仲良くさせて

もらってましたって言いましたけど・・私たち大学時代付き合って

ました」


 大学時代の友人だと名乗る女性に付いてきたのだけれど・・

昔の夫のガールフレンド? 恋人? だったみたい。

 えっ、なに、なにこの展開。焦るぅ~。 

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