名探偵カナン

@NEET0Tk

第1話

「これを職員室に持っていけばいいんですね?」


 先生に頼まれた書類を持ち運ぶ。


 初めまして、僕の名前はカナン、探偵さ。


 そこら付近のホームレスの髭親父に貰った声をイケボにしてくれる赤色の蝶ネクタイと岩をも壊せる違法改造された靴、そして光がない場所でも怪し気に光る丸いメガネが特徴的だ。


 頼まれた書類を運んでいると、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえてくる。


「「「カナン君!!」」」


 振り向くと三人の友人が走って来ていた。


「どうしたんだ?ガン太、松彦、アゲミちゃん」

「本当にカナン君?」

「ああもちろんだ」

「大変なんですカナン君。今体育館で人が死んでいたんです!!」

「またかよ」


 この作品が最初で最後の話で言うのもなんだが、このお話は毎話人が死んでしまうため、正直人が死んでても何も感じなくなってしまった。


「第一発見者は?」

「3人だよ」

「うな重のオカズに先生のことを食おうと思ったら倒れてたんだ」

「ガン太君!!それはオカズじゃなくて主食ですよ!!」

「そうだっけか?」


 なるほど


「とりあえず現場に行こう」

「松彦君、そのハンカチどうしたの?」

「さっきケチャップを直飲みしていた時に服にかかったんです」

「だから服が油でそんなにキラキラしてるのか」

「あれ?カナン君、メガネは?」

「イメチェン」


 ◇◆◇◆


「死んでるな」


 教官室では体育の先生が頭から血を流していた。


 脈を確認したが、息はしていなかった。


「ふむ」


 周りを確認してみる。


 割れた窓ガラス


 割れた金属。


 出血は頭からにも関わらず、先生の手には血の跡。


 そしてその近くにまるで消されたように血が掠れている。


「分かったぞ!!」

「「「え?」」」


 僕は指を指す。


「犯人はこの中にいる(イケボ)!!!!」

「「「ええええええええええ!!!!!!!」」」


 ◇◆◇◆


 事件の真相を紐解いていこう。


「現在の時刻はちょうど3時間目が終わり、もうすぐ授業が始まる時間だね」

「おかげで授業がサボれたぜ」

「だが僕達のクラスは3時間目体育であり、その時に先生はまだ女子生徒を見ながら鼻息を荒げていた」

「アゲミもよく見られてたー」

「つまり犯行時刻はちょうど3時間目の後の休み時間というわけだ!!」

「す、すごい!!さすがカナン君」


 賞賛の声が上がる。


 僕が探偵をしているのもこの名声が脳内の興奮物質を大量に発生されてくれるからだ。


「そして僕が女子更衣室のカメラを回収した時、既にみんなは帰っていた。そして僕が体育館から出てすれ違ったのは3人」

「だから犯人が僕らの誰かというわけですね」

「そういうことだ」


 そして推理が続く。


「ガラス片が散らばっている」

「そうだな」

「窓ガラスが割れているからでは無いでしょうか?」

「いや、それはブラフだ」


 ガラス片と金属を取る。


「少し見た目が違うね」

「片方は窓のガラス片、そしてもう一つが凶器に使われた金属だ」

「よく分かったな」

「探偵だからな」


 ここから分かることは


「犯人はガン太じゃない」

「どうしてだ?」


 ガン太が人狼なのに白と言われたような顔をする。


「窓ガラスはカモフラージュ。つまり非力な人間が鈍器などでは殺せないことを示すためのものだ。ガン太を犯人の候補に入れておくための策だろう」

「凄いですよカナン君!!」


 これで容疑者がかなり絞れたな。


「そして犯人を特定する最後の決め手がこれだ」

「血か?」

「ああ」


 何故先生の手に血がついているのか


「IQ400の僕が導き出した答えは、おそらく多分ダイイングメッセージだろう」

「「「な、なんだって!!」」」


 当然の反応だな。


「そしてこの血が掠れた跡。おそらく犯人が消したものだろう(イケボ)」

「ですが消されたなら犯人は分からずじまいですよ」

「いーや、しっかり犯人を刻んでくれてるよ」

「カナン君、どういうこと?」


 僕は自分のポケットを指差す。


「先生は新鮮なホカホカの死体だ。つまり、ダイイングメッセージを消した物は、まだ赤く染まったままだろう?」

「な!!」

「それって!!」

「まさか!!」


 皆の視線が一人に集まる。


「ぼ、僕じゃありません!!」


 松彦の見た目が黒色から色が付く。


「あれれ?おかしいぞー。松彦のハンカチはどうして赤色だったんだ?」

「だからこれはケチャップとーー」

「それに、その服についたキラキラはガラス片じゃないのか」

「!!」

「黒幕は松彦だったんだな」


 松彦が膝から崩れ落ちる。


「松彦……」

「信じてたのに」


 二人のどう言葉をかけていいか分からないようだ。


 すると


「警察だ!!」


 よくやく警察が登場だ。


「犯人誰?」

「「「コイツです」」」

「よしじゃあ逮捕」

「犯人は僕じゃありません!!それに少年法は適応されないんですか!!」


 松彦は頭からタオルを被せられながらパトカーに乗っていった。


「まぁ一応警察だからね。現場を鑑識するから三人は出て行って」


 追い出されてしまう。


「まさか松彦君が犯人だったなんて」

「逮捕されるなら先に食っとけばよかったぜ」

「あ!!カナン君、お昼一緒に食べようね」

「おう」


 こうして事件は無事解決した。


 ◇◆◇◆


「凶器は何だ?」

「はい、最初は先の鋭利な物での犯行と思われていましたが、それは死んだ後に出来た傷でして、死因は鈍器のようなものだと考えられます」

「窓が割れているのは?」

「はい、これは被害者が鈍器に殴られた勢いで窓ガラスにぶつかったものだと判断しました」

「それだと子供による犯行は不可能だな」

「そうですね」


(まるで破片で何かを隠したがっているみたいだ)


「これはダイイングメッセージか?」

「消されていますね」

「ん?」


 血の跡の近くに何かが落ちている。


「何かの部品、ですかね?」

「すみませーん、こちらに謎の金属が」

「これは……ディスクか何かか?」

「そのようですね」

「どうやら内容はPCに保存されているようですね」

「確認しろ」

「はい」


 映像が流れる。


「処分だ」

「さすがに盗撮映像とは思いませんでしたね」

「とんだ変態もいたもんだな」


 ◇◆◇◆


「カナン君って何でずっと黒いままなの?」

「イメチェン」

「そういえばメガネも外してたね」

「ああ」


 回収したメガネを取り出す。


「あれ?レンズがないよ」

「壊れたんだ」


 だから隠すしかなかった。


「それにしても今日も凄い一日だったな」

「ああ(イケボ)」

「カナンが今日ちょくちょくカッコいい声になるな」

「ちっ、やっぱ壊れたか」


 機械に液体はやっぱり不味かったな。


 それに生臭いしさっさと捨てるか。


 するとボールが転がってくる。


「おーい、カナン。ボール蹴ってくれ」

「おう」


 パン


「ボ、ボールが割れた……」

「これはキック力増強シューズのいいところだな」


 岩を壊すことも、大人を吹き飛ばすのにも使える。


「真実は」


 事実ではない。


 皆が真実と思ったものが、真実となる。


「いつも一つ、か」


 何とも皮肉な言葉だな。


「な?」


 言っただろ?


「犯人はこの中にいるって」


 また会いましょう。


 次回


『あなたの町』



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