第3話 世界の成り立ち

この世界は、人族・魔族・獣人族など様々な種族が存在するらしい。

お互い共存する種族もあれば、対立する種族もある。

6つの大陸に分かれていて、大陸内に大小様々な国や州、群が存在している。

また、世界中にダンジョンが数多く存在し、攻略すると様々な恩恵に預かれるので挑戦者が後を絶たない。

ちなみに僕が今いるところもダンジョンの低層のようだ。

文明レベルは中世ヨーロッパ程度であるが、種族ごとにそのレベルが異なるらしい。


科学技術の代わりに「魔法」が発達しており、その力はスキルによって管理されている。

スキルとはそのキャラクター特有の能力であり、ある条件が達成されることで身に着くようだ。

スキルにも熟練度があり、使い続けていくとその効力がUPするとのこと。

また、スキルはレベルアップや進化することでも得られ、スキルの保有数には制限がないらしい。

敵を倒したり、難しいクエストを攻略することでレベルアップし力や敏捷性などの能力が上がるとのこと。


レベルが一定に達し一定の条件を達成すると、その種族のクラスが変化し別のクラスへと成長できるようだ。

クラスアップまでの必要なレベルや条件は、種族によって違うらしい。

ちなみにミミック見習いの場合、クラスアップまでレベル10に達する必要があるとのことだった。


(なんとなく、この世界のことがわかってきた。ただ、僕は一体何をすればいいんだ?)


「光君はまずダンジョンの最下層を目指した方がいいよ。光君の達成課題についての情報がそこにあるはずだよ。」


とりあえず今いるダンジョンの最下層を目指せばいいようだ。しかし、どうやって?


僕は口を開ける以外何も出来ない…。


「そんなの簡単さ。『食べれば』いいんだよ。」


(えっ、食べる?)


「ミミックのスキル獲得の条件は、『食べる』こと。さっき羽ばたき虫を食べてスキルをゲットしたでしょ?だから移動スキルを持っている獲物を食べればいいんだよ。」


箱の中で虫が溶けたのは『食べた』ってことか。でもあんな偶然もう起こらないんじゃ?


「そこは頭を使うことだね。どうすれば捕食出来るかって考えないと待っていても、そうそう食べられる機会ってないからね。」


自分次第ってことらしい。かなりハードルがきついような気がするけど…。


「そうそう、今光君の『食べる』スキルのLvが1だからあまり堅いものは食べられないよ。食べていくうちにLvが上がるから、始めは柔らかいものを食べるといいよ。」


その柔らかいものすら食べられるか分からないんだけど。


「あと、ゲームでも餓死することはあるよ。空腹が極限になるとHPやMP、SPが減ってくるから0になったらゲームオーバーだからね。」


一番大事なことをさらっと言われてような気がする。

かなりの死活問題なんだけど。


「他に質問は無い?そろそろ時間だから行くね。始めは大変と思うけど頑張ってね。じゃ。」


僕の反応を待たずして、チュートリアルの声は聞こえなくなった。

これからは僕1人で進めていかなくてはならない。急に怖くなってきた。

とにかく、移動スキルがなければダンジョン攻略なんて不可能。

まずは、移動スキルを持ってそうな獲物のスキルを取得することが最重要だな。


もう一度自分自身のステータスを確認してみよう。


【ステータス】

名前:光

種族:ミミック

クラス:見習い

Lv:1

HP(体力):40

MP(魔力):100

SP(スキルポイント):100

筋力:5

耐久:10

知力:30

器用:5

俊敏:1

運:300


スキル:鑑定Lv1 食べるLv1 甘い匂いLv1


相変わらず運だけが特化しているなぁ。どういう高架があるかチュートリアルに聞いておけばよかった。

スキルで使えそうなのは鑑定Lv1、、甘い匂いLv1。

鑑定は使えそうだな。


自分自身に使ってみよう。そもそもミミックってどういう種族なんだ?


鑑定中…。


【ミミック見習い】

宝箱等などに偽装し、中の財宝を手に入れようと開けようとした冒険者などを餌とするミミック種の最下層。成長することでミミックへと進化することができる。


この世界でもミミックの大きな違いは無いようだ。

冒険者を餌とするっていうことは僕も人間を食べるんだろうか?いや、まさかね…。


「甘い匂いLv1」についても調べてみよう。


鑑定中…。


【甘い匂い】

使用した地点から甘い匂いを発するスキル。


これだけしか分からなかった。もう少し詳しい情報を見るのであれば、鑑定スキルをあげる必要があるのだろうか?

まだまだ分からないことだらけだ。


鑑定を使用するとSP値が1つずつ減ったようだ。使用回数も制限されているらしい。

他にも何か情報があるかもしれない。僕は周囲にある物全てに鑑定をかけ始めた。


【岩壁】

ダンジョンの壁。


【石】

ダンジョンに転がる鉱物質の塊。


…。


「鑑定がLv2となりました。」


やはりスキルを使い続けていくことでLvが上がるらしい。

Lv1とLv2では何が違うんだろう。

早速使用してみた。


【岩壁】

ダンジョンの壁。まれに貴重な鉱物が発見できるらしい。


一文が加わったぐらいだ。まぁレベル2だとこんなもんだろう。

ついでに石も鑑定してみよう。


【石】→【ミスリルのかけら】

貴重鉱物「ミスリル」の破片。武器の素材となる。


つい先ほど石と鑑定されていたものが、なんと貴重鉱物だった。

早くも鑑定の成果が出たようだ。

せっかくの貴重な素材だが、動けない僕にはどうすることも出来ない。

鑑定の効果を確認できただけでも良しとしよう。


ただ、鑑定するにもその対象を視認する必要があるようだ。

箱を閉めると何も見えなくなるので、常に箱が開いた状態でないと鑑定もすることが出来ない。

これは紛れもなく、マイナスポイントだ。


獲物を獲得するためには箱が閉じた状態でも、周囲の状況が分かるようにしなければいけないだろう。

そんなスキルはあるのだろうか?


ブーン…。


虫の飛ぶような音がする。獲物を捕食できるように僕は即座に身構えた。

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