第11話

 とうとう遺体が出た。警部から一報があり、情報を貰いに警察に出向いた。遺体は一体、写真や衣類、持ち物から写真のなかの女子高生だと思われた。例の6人の中のひとりだ。警部は既にその家に行って遺体の確認を依頼していた。美紗の努力が実を結んだ。名前を井上和子(いのうえ・かずこ)といった。

 両親が身元を確認した翌日、警察が遺体のあった近くでもう一体の遺体を発見した。OLのうちの一人、稲富俊子(いなとみ・としこ)だった。これも美紗が洗い出した6名のうちの一人だった。

 更に次の日、また付近で遺体が出た。今度は主婦の大熊優子(おおくま・ゆうこ)だった。これも美紗が絞ったなかの一人だった。

この時点で、あと金谷登美子が発見されたら、美術館に展示された写真は遺体だった事になる。しかし、写真には生きている姿が写されている。考えられるのは、生きている女性を過冷却水の中へ放り込んだ、ということしかない。なんと残酷なことを犯人はしたのか、一心は腸が煮え繰り返る思いで息が苦しくなるのを覚えた。

夫々身元が確定した。殺人事件であることも確定した。美術館の写真は全て証拠として押収された。

 そして、4日後遺体の発見場所から更に山奥に車で1時間走った山の中腹にある洞窟の中に遺体を発見した。そこにカラスが群がって居たので、覗いた登山者が人のようなものを見て、警察に通報したのだ。

警部から聞いた話では、顔は判別出来ないそうだ。動物にやられたようだと聞かされた。DNA鑑定を進めていて、先ず、金谷富美子と照合すると言っていた。

 次の日、金谷登美子と確定した。館長も号泣したそうだ。

 行くへ不明になったのが、6月から8月。発見は11月3日から11月10日に集中していた。遺棄場所が同じような所だったので一気の発見に繋がった。


 いずれもの遺体に付着していた衣類や残された皮膚からは、冷凍焼け、若しくは凍傷の痕跡が認められた。

一心は遠辺野憲重が過冷却水を使って写真を撮ったことを認めたと丘頭警部に報告した。音声録音したメディアも提供した。一番真犯人に近いと思われた。

 憲重には一助が夜間は張り付いている筈だった。

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