第2話
と、まぁ…ざっと振り返ってみたところ、こんな感じだ。
あの日から4日経った今日。
僕と彼女――ミルアの関係はさほど変わってない。強いて言うなら、トイレとお風呂以外はほとんど一緒にいる事くらいだ。
「レオ、どうなんだ?彼女との進展」
レイドさんと朝食を食べていると、いきなりそんな事を聞かれた。…もちろんミルアも隣で静かにモキュモキュと朝食を頬張っている。
3日前に、お前の食事は生き血じゃないのか?と聞いたら「血は定期的に必要なもの。でも、普通の食事も摂らないと普通に栄養不足で死ぬ」と答えた。
…吸血族って不思議な種族なんだなと思った出来事であった。
「おい、聞いてるか?おーい」
「っ、ごめん。ちょっと過去を思い出してた」
「お…そ、そうか。ボーとしてた、っていう答えが返ってくると思ったら予想の斜め上の答えが返ってきたな……んで、もう一回聞く。
彼女との進展はどうなんだ?3日前に聞いた限りじゃ、夫婦になったんだろ?」
レイドさん、それと店主であるアンガスさんにはあの夜起こった出来事は全て説明してある。
「…そうなった原因を省くな。…まぁ、ミルアの中では?それとも形式上では僕とミルアは夫婦の関係だ、そうだろ?ミルア」
「ん!」
「そうだって。どうやら食べるのに忙しいらしい…話を戻して、夫婦の関係なったが僕はミルアを恋愛対象とは見てない。ミルアは見てるらしいけど…というより、僕のことが好きだって」
「ひゅう。断言するか」
「本人から聞いたからね。…僕はミルアを恋愛対象に見てない、でも夫婦の関係。しかも求婚したのは僕の方からだ、責任は取るつもり。しかし、一つ条件付きという事でな。それは、僕がミルアに惚れる事、好きになる事…言い方はいくらでもあるが。
ミルアはどんな手を使ってでも僕を惚れさせればいい。それが達成できたら本当に意味で結婚したいと思ってる。ここまでは前も話したよな?」
「あぁ、大変だな〜って思ってる」
「先輩冒険者とはいえ殴り飛ばしますよ?…コホン、そうなってから今日で約4日。ミルアは特に僕にアプローチはかけてきてないです」
「そうなのか?俺はてっきり…こう二人きりになった時に迫ってるかと」
「妄想力豊かですね。基本的にミルアと僕は一緒にいますし、二人きりの時は会話もしてます。でも、あからさまなことはしてきませんね。
会話内容などは…例えば、僕の事についてやミルアについて、吸血族について、僕の過去、ミルアの過去、この街にあるもの、どんな生活を今まで送ってきたのか…などなど、普通の会話です」
「…そういうところから少しずつ仲を深めようとしてんのかね?」
「わかりません。どちらにせよ、基本的にはそんな感じですね。それと、ミルアは進化はしてないですが強いですね」
進化、それは己を急激に成長させるもの。
余談だが、この世界には自身の生命力、魔力、レベルを表示させる特殊な情報カードが存在している。それは誰もが一枚、必ず持っているものだ。しかも、絶対に失くすことは出来ない。失くしたら勝手に戻ってくるのだ。ちなみに胸に手を当てたらカードが出てくるという謎な仕組みだ。
話はそれたが、生命力はそのままの意味。生命力が尽きたら死ぬ。魔力は魔法を使う時に消費されるものだ、その辺りはまた今度説明しよう。そして、レベル。これは自身が魔物もしくは人間を殺した時に手に入る特殊な何かによって上がっていく。
レベルが上がるごとに自身の体に力が満ちていく。実際にその時の感覚を味わったことがあるからな。それも何度も…
そして、進化。これはレベルが一定に達すると自動的に行われる。人族の進化は何回でも可能で上限はないんじゃないかと言われている。…僕も既に3回は進化している。だが、人族以外の種族は進化に上限があると言われている。…聞いた話なので信憑性はないが。
「進化か…まぁ、その見た目じゃしてないだろうな」
「どうなんだろうな、ミルア?進化ってしてるか?」
僕がそう聞くと首を横に振った。…喋るより食べるですか。
「してないらしい」
「らしいな。…しっかし、獣人で吸血のハーフの進化ってどうなんのかね」
「前例とかあるのかな」
「一回くらいはあるんじゃないのか?でも、俺は聞いたことないな」
「う〜ん、調べてみるか」
「そういや、レオ。レベルはどうなんだ?」
「僕?待って」
胸に手を当て、念じる。すると、一瞬光ったあと、手に一枚のカードが握られていた。これが情報カードだ。
「えーと、37だ」
「3回進化してるのか、前回聞いた時は21だったのにな」
レイドさんが言ったように人族の進化は10レベル毎に行われる。
「頑張ってるからな」
「頑張れよ、ちなみに俺は49だ」
「あと1レベルで進化じゃないですか。頑張ってください」
「もちろんよ」
「…なぁ、ミルア。いつまで食べてるんだ?」
「……ゴクン。ちゃんと噛んで食べないと、それと味わって食べないと」
「…そうかよ。血飲むか?」
「今はいい。普通のご飯と一緒に食べたら不味くなる」
「そうなのか」
…まぁ、よくよく考えたら血と様々な調味料と色んな食材などで作られた料理を一緒に飲み食いするのは想像するのも嫌だな。
「なら後であげるよ」
ミルア曰く『血は3日に一度でいい』らしいけど、なんかミルアは毎日僕の血を飲む。
飲まれる側としてはなんとも言えない気持ちだが、断ろうかなと思って、そう言いかけた時にミルアが涙目になるので断れないのだ。
噛む時の痛みも今はほとんど感じない。慣れ?よく分かんないけど……まぁ、貧血にならないように吸血してくれるのは嬉しい。
「うん、レオの血は美味。飲んでるだけで脳が蕩ける」
「うん、僕の血はお酒か何かかな?」
「同じもの」
「否定して?」
「はっはっはっ!!面白いな、聞いていて飽きない」
「笑わないで下さい…」
「レオも私が血を飲んでる時は気持ちいいはず」
「お、そうなのか?レオ」
「…気持ち良くはないぞ?まぁ、昨日吸血されてた時は少しぼ〜としてしまったが」
「それ、吸血の効果。吸血をしてる時は突き立てた歯から一種の麻酔効果と媚薬効果のある毒に似た薬?を流し込む。だから吸血中は痛くなくて、むしろぼ〜としたり気持ちよくなる」
「なんちゅうもん流し込んでんねん…麻酔効果は分かる。…媚薬!!」
「ほんの少し、ほんの少しだけ」
「その効果?というより注入は止められないんでしょ?」
「無理」
「なら仕方ない…僕が我慢すればいいだけだ」
「我慢せずそのまま襲っちまえよ」
「レイドさん?だから彼女出来ないんですよ」
「関係ないわ!!」
ははは!と笑い合う僕とレイドさん。
その間、ミルアは静かに食べながらこちらを見ていた。…厳密には僕の首元を、だが…
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まぁ、この作品はゆるゆると書いていきます。(なろうで書いた文章をそのままコピペしてま--)コホン、まぁ…色々「ん?」ってなる場面あるかもしれませんが伏線だと思ってください。(中には伏線じゃないものもある)
伏線…難しいな。
ちなみに残酷・暴力描写はあります。性描写は念の為にですね
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