浜辺の漂流物と言えば

 海のない県に育った自分は、浜辺の漂流物と言われても、

 あまり思い付く話がありません。

「浜辺」ではなく「川辺」や「水辺」なら幾らかあるのですが。

 そういった訳で、数少ない経験の中から、

 今回は何とか捻り出してお話しようと思います。


 海の近くに住む人であれば、冬場のオフシーズンに、

 散歩して変なものを見付けた、といった経験があるかも知れません。

 ですが、自分にとって海といったら夏場の海水浴場。

 観光地の綺麗に整備された砂浜、ぐらいのイメージ。

 当然ですが、そのような場所に『漂流物』などありません。


 あれは小学生の頃だったでしょうか。

 今となっては黒歴史ですが・・・

 母が共産党機関紙『赤旗』を取って、赤く染まっていた頃がありました。

 その共産党主催のツアーに何も知らず参加しました。

 子供でしたし、政治的な主張には全く興味がなく、

 単純な船旅、東京のとある島へ向かう観光、それだけでした。

 行き帰りの船内で、怪しいおじさんが怪しい歌を歌っていました。

 もしかしたら妙なポスターも飾ってあったかも知れません。

 そうしたものには一切関係なく、ただ友人と船旅を楽しみました。


 3泊4日ほどのツアー。

 初日に海で遊び過ぎた自分と友達は、

 2日目には背中が真っ赤になって、遊ぶどころではありません。

 日焼けに効く薬を体中に塗って、しばらく横になっていました。


 レンタサイクルがあるから、少し出掛けてくれば?

 と言われ、友達と島をぐるっと一周することにしました。

 小さな島ですので、一周しても数時間程度。

 背中だけではなく、足も腕も真っ赤で、ハンドルを握る腕も、

 ペダルを漕ぐ太ももも、焼けるようだったのを覚えています。


 親戚のお姉さんたちと一緒に、夜少し外食をして『くさや』を初体験、

 これはさすがに無理、という感想を抱いた記憶もあります。


 最終日。

 まだ背中がヒリヒリしたので、最後のひと泳ぎはせず、

 少しビーチの方に行って、帰る時間まで浜辺を散策。

 友人と二人、ビーチから岩場の方へ、人の通らないような山道を進むと、

 そこで発見してしまったのです、浜辺の漂流物を・・・


 それは何の変哲もない、ビーチボールでした。

 海で遊んで、浜で休んでいる間にでも、海風に流されたものでしょうか。


 はい、すみません。

 この程度の経験しかありません。

 それでも、誰も立ち入らない岩場の水溜りに、

 カラフルなビーチボールが漂着していた光景は、妙に印象に残っています。


 皆様の夏の思い出はいかがでしょうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る