美魔女戦争

@ramia294

第1話

 世は、美魔女ブーム。

 街のあちこちには、美魔女が…。


 運が良ければ…。


 とても運が良ければ…。


 出会えます。

 それでも。

 確実に、その数は、増えていき。

 若い男の 視線と心。

 奪っていきました。

 

 うら若き女性。

 恋が。

 その手の指の隙間から、こぼれ落ちていきました。

 美魔女の元へ こぼれ落ちていきました。


 星の夜も、光る朝も、ひとりの時を過ごす、若き女性たち。


 その恋人。

 美魔女の魔法に。

 心奪われ。

 去っていかれます。


「オバハンのクセに!」


 と、若き女性たち。


「魅力が、足りないのよ」


 美魔女。


 勢いは、美魔女。

 数は、若き女性たち。


 ある、若き女性。

 婚約者との縁が、揺らぎ。

 泡となり、空気に戻りました。

 すがりつく彼女。

 泡となった幸せ。

 彼女が、すがりつくたび弾けて。

 消えていきます。

 振り切る婚約者。

 登場した…。

 美魔女。


 振り切った婚約者が、嬉しそうに美魔女と手をつなぎ。

 去っていきました。

 流す涙は、泡には成らず。

 憎しみに…。

 彼女の頭の中に、憎悪の嵐が、吹き荒れました。

 彼女は、ひとりではなく、同じ思いのひとたちと、手を繋ぎました。

 ネット。

 便利で、恐ろしいものです。


 やがて、火の手は、上がる。

 ここに、

 美魔女と若き女性の間。

 こじれに拗れ。


 世にも恐ろしい戦争が、勃発。

 ゴジラ対…。違った。

 (^_^;)

 ガメラ対…。違った。

 (^_^;)

 美魔女対若き女性。


 世界中の国々。

 成り行きに、固唾を飲む。

 世に言う。

 美魔女戦争。


 この国の。

 軍事力を持ちませんの軍事力。

 剥き出しになりました。

 双方、肩にレールガンを担ぎ、腰のホルスターには、レーザー銃。


 リチウムイオン電池、世界レベルとは、かけ離れていました。


 空気読めず。

 北の国、ミサイルで世界を牽制する。

 美魔女、若き女性。

 双方の苛立ちを買う。

 近隣の海、飛翔中のミサイル。

 レールガンで、穴だらけにされる。


「とばっちりだ」

 

 最後の言葉を残し、ミサイル、海に散る。

 ご愁傷様。


 美魔女対若き女性。

 双方に、犠牲者多数。

 美魔女の死。

 若き男たちの涙を誘う。

 若き女性の怒りを煽る涙。

 狂う、彼女たち。

 戦火ますます、激しく燃える。


 迷える女性発見。

 三十代みそじ

 自分では、もちろん若く。

 でも…。

 世間の見る目は?

 私たちは、

 どちらなの?

 美魔女側に参加するには、抵抗が…。

 若き女性とは、主張出来ず。


 迷える羊の心。


 戦火を避ける男たち。

 迷える羊たちと、共に逃げまどう。

 同じ時間ときを過ごす。

 極限状態の彼と彼女。

 芽生える熱き思い。

 ミサイル飛びかう中で、

 プロジェクタイル飛びかう中で、

 生まれた恋。


 戦火を逃れ、鳴り響く。

 ウェディングベル。


 究極の平和の鐘。

 美魔女たちに、気づかせる。

 若き女性たちに、気づかせる。

 愚かなる争い。

 憎しみだけを産む炎。


 レールガンを捨て。

 共に手を取り合う。

 若き男が、残るうちに。


 しかし…。


 時、既に遅く。

 若き男、全て、アラサーの餌食に。

 いや…違った。

 (^_^;)

 若き男、全て、アラサーと幸せに。


 昨日まで、殺しあっていた、美魔女と若き女性。

 抱き合って、涙を流す。

 

 救いの天使。

 現る。


「オッチャンなら、余っているよ」


 美魔女と若き女性、一瞬泣き止む。

 目を合わせ。

 刹那の気の迷い。

 お互いに。

 気づかぬふり。

 再び泣き出す。

 

 オッチャンでは、嫌と泣き出す。


「チェッ!」


 救いの天使。

 足元の石ころ蹴飛ばして、去る。


 戦火。

 不毛な大地しか、残さず。

 変わらぬ美しい夕日、西に沈む。


        終わり。

 

 




 

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