魔法入試試験 トウマsaid

会場から大歓声が響き渡る。


「うおぉ~!やべっ…始まった」

トウマは慌ててフィールドへ向かうも傭兵に止められた。

「参加者ですか?もう、始まっていますのでフィールドへ入ることはできません!」

「そこを頼む!マジで!」

「駄目です!間に合わなかった場合は失格になります。これは決まりです!」


「あっ!!」

トウマは大きい声をあげ何もない方へ指を指した。

傭兵も疑う事なく指を指す方をみる。


「えっ?あっ!おいっ!」

傭兵は慌てて、トウマを捕まえようとするが、柵は壊され、既にフィールド内へ入っていた。

「ちょっ…!?どうやって!!てか、鍵と防御魔法をかけてたはず」


「わりぃ!ちょっと、鍵壊しちゃった。防御魔法も解けちゃったから、すぐに直してくれる?」


「なっ…?!おっおい!すぐに魔法騎士団の責任者呼んで…どわぁっ!」


試験中の魔法師の技が飛んできて傭兵数人が爆風に飛ばされた。

さすがのトウマもヤバいと感じたらしく変な汗をかいていた。


「本当に申し訳ないと思ってるよ…!あっ…責任者来るまで、ここに居るから…飛んでくる魔法防げるし…本当に、すみませんでしたぁー!!」


駆け付けた傭兵の目線が痛い…。


「せめて、医務室に運ばせて…っ!?」

傭兵へ駆け寄ろうとした瞬間。

トウマはフィールドから冷ややかで鋭い刃で刺されたような衝動を感じた。


「おい!てめぇら、伏せろっ!」

傭兵も感じたのだろう。トウマの掛け声に身構えるも剣を構え戦闘体勢をとる。


上空を見上げると美しい竜の姿が見えたと思った矢先。無数の氷の刃が地上に降りかかってきた。


冷たい冷気の中、砂埃が舞い上がる。

視界がクリアになってくると目の前には、マント姿の男が立っていた。


男の顔は良く見えなかったが、竜は明らかに睨みをきかせている。


『やっぱ、田舎から出てきたかいがあった…すっげー面白い』

「スゲー魔法だな!俺は、トウマ!よろしくな!!」

「まぁ…試験といえど、男なら半端で終わるのもつまらねぇよな。俺とお前、どっちが先に倒れるか…勝負しようぜ!」


こんなに、鼓動が高鳴ったのは初めてで笑みがこぼれた。


マント男も竜とコソコソ話をしている。

話がついたのか、マントをとり、こっちを見つめる。

「僕は、アルス…よろしくね」

穏やかな声と美しい容姿とは想像ができないほどの ヒシヒシと殺意に近い闘志を感じる。


あと、アンジュちゃんと会場にいる女子がうるさい…。

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