第1話 プロローグ

 思い起こせばカスミがこの名も無い世界に連れて来られ約1年近く過ぎていたのです。


 この後ビチェンパスト王国を通ってヴァン国へ行くのですが、船に乗る必要がります。

 このビチェンパスト王国は貿易が盛んな豊かな国です。


 ビチェンパスト王国は千数百年遡れば一寒村に行きつく、その村はパト又はパスと呼ばれ漁業で成り立ち近隣と簡素な物々交換で貿易を行っていた。

 その村が大きくなる切っ掛けは、東の海の果てにある大国サルワ・キク・カクタン国と言う宗教指導者が王として君臨する政教一致の国の侵略からだった。


 東から侵略をしてきたカクタン王国の当時の王ルクデス・サルワ・キク・カクタンは呪いの森ダンジョンに行く手を妨げられ、陸からの侵略を諦め海から船に乗って今のビチェンパスト王国の岸辺へってきた。


 今のビチェンパスト王国の岸辺へたどり着いた時は王と少数(10隻と言われている)のボロボロの船団のみだった、ルクデス王が船出した時は500艘もいたが途中で嵐や海の魔物によりバラバラになってしまった。


 そして不幸な事にその寒村の男たちは戦士海賊でもあった。

 たちまちルクデス王の船は襲われ略奪された。


 世に言うビンコッタの海戦である。

 この時の勝利で思わぬ財宝を手に入れた村はそれ以後パスト村の名前をビチェン(勝利)のパスト共和国と改め現在のビチェンパスト王国へと発展していった。


 発展の元となったのは決して財宝だけでは無く、奴隷にした船員の中に船匠が多く居たと言われている、彼らが大型船を造る知識と技能を持っていたのは間違いないだろう。


 そして忘れては成らない人達として王の妃達が居る、今でも東の血を引いたと思われる美女がビチェンパスト王国には多いと言われるのはこの時からだと言う。


 地理的にはロマーネ山脈からの豊富な水と土の恩恵を受けビンコッタ海へと広がった堆積平野を基盤とする国です。


 農業と漁業そして貿易立国として名高い王国は川の沖に出来た大きな干潟を王都として長い年月を掛けて整備して来ました。


 神聖ロマナム帝国とは何度も攻め込まれた歴史が在りますが、常に王都の前までしか進めない神聖ロマナム帝国軍に対して、海から反撃して追い返しています。

 そして貿易品の魅力に負けてビチェンパスト王国に有利な内容での交易を行う羽目になるのです。


 神聖ロマナム帝国にとって目の上のたん瘤的な存在の国なのでしょう。


 今帝国が大砲を手に入れたため真先に狙われそうな国、No1ではないでしょうか。

 しかも今帝国の国境には私を捕まえるために軍が集結しています、帝国にとってビチェンパスト王国を攻める絶好の機会ではないでしょうか。


 まぁ実際の侵攻ともなれば、物資が更に大量に必要でしょうが。

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