第14話

 暖かな、昼下がり。彼は、底なしの体力で、海を楽しんでいた。

 ただ、ちょっとだけ疲れた私は少し休んでいる。


 何もない日常、それは安全な日常とも言い換えられる。

 君は笑って、君を幸せにしたい。

 しかし、私の過去が足を引っ張っているのは確かで、少し寂しい。


「お嬢ちゃん。ちょっと良いかな?」

 そんな夢の中で聞き覚えのある声。

「硝子ですか。何のようですか?」


「お? 話が早いね」

「私のバックアップの話ですか? それならお断りします」


「ん? あー未来予測の内容ね。それがね、バタフライエフェクトでその機会が無くなっちゃった」

「なら、何用です?」


「君の力が借りたくてね。どうだい? 世界を救わないかい?」

「楽しそうな話ですけど、今回は遠慮しときます。守る者が出来たので」


「君は、そう言うと思ったよ。でもお願いなんだ!」

「誰がなんと言おうと、私は動きませんよ。今は大きな一枚岩の気分です!」


「そんな事を言わずにお願い」

「嫌です!」


「そんなキッパリ言われたら強く言えないじゃん。じゃぁ分かった。アメジスト復元してあげる」

「今は「緑」で十分です!」


「それがね。母性が洗脳方法を変更したんだよ。今の君じゃ解けないようにって」

「どういう事?」


「言葉のままの意味。君はもう母性に逆らえないって話さ」

「え? あの作戦に強制的に参加させられると?」


「だね。君のようにナノマシンを自由自在に操ることのできる存在は滅多に居ないよ。無論、母性さえも叶わない。ただ、君がナノマシンの性質を変えて無理やりオフラインになるのにも限界がある。きっとローカルで母性も母性で君をアップグレードをさせる。そしたら、もう君にナノマシンを変更する権限は無くなる」

「何処で、その情報を?」


「私は表じゃ中立さ。両方に繋がってる。ただ母性の動きに呆れてね。寝返ったわけだよ」

「...」


「どうだい? 君は協力するのかい?」


 そんな言葉が、頭の中に反響する。君を守る。それしか頭に無いが為に、それは大きくまた長く響く。

 母性に操られてしまったら、君は殺されてしまう。

 私が、守れない。ならば、どうする。

 私は、ゆっくりと頷いた。


「それは、どういう意味で?」

「アメジストを復元します。ただ、この容姿は残したいし、攻撃用ナノマシンはまだ待って」


「うーんじゃぁ、それを表現しているコードを自分で書けば良い。詳細はわかるだろ?」

「え、あ、まぁ」


「じゃ、始めます! ほら端子を出した出した!」

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