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「ネコちゃん、すごく幸せそう…。」



 女の子が、ぽそっと呟きました。



「……なんだ?」



「んーん、」



 男性の耳に、女の子の言葉は、届かなかったようです。






「…お茶、召し上がったら帰りなさい。」



 男性が優しく言います。



「また来ていい?」


 女の子は、たずねました。




 ふーっと、息を吐き出してからら男性は応えます。




「たまにならな。」




 満面の笑みになる女の子に、男性は少し戸惑いつつ、ティーカップを置きます。





「たまにってどれくらい?」

 女の子が聞きました。




「1ヶ月に1回くらいだな。」



「3日に1回くらいだね!」




「こらこら、…。」


 男性は少し微笑みました。



「ネコさんも、それくらいのがいいよね?」



「……。」




 珍しく応答しないネコ。




「おじさん、このネコちゃん鳴かないの?」




「よく鳴くぞ。」



「ふーん…。嫌われちゃったかな?」



「それは…、いきなりダンゴムシを投げつけたらだな……。」



「ごめんなさい。」



 女の子が、頭を下げました。






「勘違いは誰にでもある。ほら、帰った、かえった。」


 コップを片付け始めました。








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