第2話 帰還
「うぁっ」
潤一は自室のベッドで目を醒ました。
潤一は即座に付近にあったスマートフォンの電源をオンにした。
月日は7月5日。
潤一が異世界に行ってしまった日と全く同じ日だった。
「そうか。こっちの世界の時間は全然進んでないみたいだな」
潤一の言う通り、現実世界の時は進んでいなかった。
「俺はどのぐらい向こうにいたんだ?」
潤一は疑問を抱いたことが起因し、頭が自然と傾いた。
潤一の体感的には1年か2年は異世界にいた感覚があった。
しかし、潤一が長い間、生活した世界は暦が存在しなかった。
そのため、真実は謎のままであった。
「あの世界ではいろいろ経験したな」
潤一はボソッと愚痴をこぼすようにつぶやいた。
異世界の学校で、潤一は勉学、スポーツ、武道に嫌というほど精進させられた。
あの世界ではそれら全部を極めることが生まれながらの使命だった。
最初、潤一は異世界の同級生に比べて圧倒的に能力が劣っていた。
勉学は平凡、スポーツはできない、武道は経験したことが一切無かったため、長年もそれらに励んできた人間に匹敵するはずもなかった。
しかし、努力に努力を重ねた結果。
最終的に、潤一は同級生と引けを取らない程度の能力を手に入れた。
潤一が周囲の同級生に認められ始めた頃に、現実世界にまた帰還した。
「潤一〜。今日は学校行くのー」
1階からの母親の呼ぶ声が潤一の鼓膜を強く刺激した。
この世界での潤一は不登校を継続中なため、どうにかして学校に行かせたいのだろう。
潤一は母親に返答せず、ベッドから立ち上がった。
今日、彼は学校に足を運ぶ。
異世界で経験を積んだ彼は未来で大活躍を成すのはこれからの話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます