ボクの勉強部屋にいる女の子の霊は、女流芸術家ぽくて、芸術論を語りかけてくる。

ヤッキムン

第1話

「ねえ、好きなんだけど」

って、自分の勉強部屋の霊に言ってみた。


夜、寝てると、霊は、ふとんの上から、ボクのからだに、いつも乗っかってくる。

最初の頃は、なんでボクに乗っかってくるのか、わからなかったけど、何か月か経って、もしかして、霊はボクのこと好きなのかなあと思うようになった。


ボクは高校1年で、美術部に入って、絵を描いている。

家でも絵を描きたくなって、それも、可愛い女子の、はだかの絵を描きたくなって、いつもノートに、えっちな絵を描いている。


夜、寝てると、霊がボクのからだの上に乗っかってくるんだけど、

あっ、今、乗っかってきたな!って思うと、

なんだか、しだいに、めっちゃえっちな気分になってくる。

霊がボクに対して、えっちなことをしてるように思えてくる。

霊は、めっちゃえっちなことが好きなのに、違いない。


部屋にいて、勉強してても、ノートに、えっちな絵を描きたくてしょうがなくなってくる。専用ノートをつくった。えっちな絵のための。


寝てると、机の上の、そのノートが、パラパラと勝手に音をたてて、めくられていく。霊が見てるんだろうなと思う。


霊は女流芸術家のような気する。ボクに対して、いつも乗っかってきて、「芸術にもっと高い意識を持ちなさい!」って説いてるように感じるのだ。霊の弟子に言ってるかのように思えてくる。

そして、霊に愛されているような気になってくる。

高校生になってから、何か月もの間、毎日毎日、芸術論を語りかけつつ、ボクのことを愛撫しているようなのだ。


ある日、霊に向かって、

「ねえ、好きなんだけど」って言ってみた。

そしたら、着物姿のかわいらしい女の子が、ボクの寝てる横に、うっすらと現れた。

それから、着物を脱いで、はだかになって、ボクに抱きついてきた。そして、ゆっくりと優しくボクにキスをした。

何回も何回も、ボクのくちびるにキスをして、

「愛し合いなさいよ!いっぱいいっぱい愛し合いなさいね!女の子と!」

って、耳元で、ささやいた。

ボクは、その子が自分の芸術の師匠のような気になって、思わず「はいっ!」って答えた。

そしたら、笑って、フッと姿を消してしまった。


ボクの高校の近くには、百人一首などで知られている伊勢さんの暮らしてた庵のあった場所があって、今は伊勢寺となっている。毎日、伊勢寺を通って、高校に通学している。

部屋の霊は、若かりし頃の伊勢さんだったのかなあと思っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボクの勉強部屋にいる女の子の霊は、女流芸術家ぽくて、芸術論を語りかけてくる。 ヤッキムン @yakkimn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ