第8話 美しい苗字を・・ごめんなさい!

 次の投稿作品をどうしたものかと迷っている。

これまでは十数年も前に書いたものをそのまま投稿していたけれど、最近になって少し手直しする作業が必要だったのではないかと思うようになった。


 投稿を始めた頃は発表の場があることが嬉しくて、やみくもに次々と投稿したがあと2,3点残した段階で迷っている。(遅すぎて今更何をか言わんやではあるが)

初参加してから4か月たって少しは慣れて来ると、幾つか反省点が分かってきたように思える。

 

 気に入った作者さんの作品を参考に、どんな所に惹かれるのか、自分にはどんな所が足りないのか等々、考えてみた。まだ全く正解は分からないけれども、何方かの投稿から参考になることがあった。


 そのうちの一つは、ある程度の間隔を開けて書くことが勧められている。(普通に原稿を書く時は、原稿用紙に段落で開ける以外は詰めて書くことになるのだけれど)

 投稿を始めたばかりの頃、人によっては随分と間隔を開けた書き方があるのだなと思えたことがあった。しかしながら適度に行を開けるのは、読みやすくするのには良い方法なのかも知れない、とここで納得した。


 もう一つは、余り長くならないで2000文字位が読みやすいとのアドバイスがあった。これにもなる程な、と思えた。誰でもがそうではないだろうが、私のように伝えたいあまりに、クダクダと長い説明文になって何千もの文字を見せられては、読みたい気持ちも無くなってしまうと思う。


 これらを踏まえて稚拙な作品「名前」を推敲してみると、何と無駄の多い文章かと悲しくなってしまった。自分の体形と同じで余分な肉をそぎ落とさなくてはならない。この部分は削ろう、ここは長すぎる、この説明はいらないでしょう・・と。嫌な作業だし、そして難しい。


 例えばその作品の長い文章が、長い長い名前だとしたらどうだろう。あの寿限無(寿限無寿限無五劫のすり切れ・・・・・ずっと続く・・)のようなものだとしたら。あの名前は余りにも長すぎて、結局は全くもって用をなさないではないか。それと同じくとりとめもなく長い文章は、最後まで付き合っていったら、いったい何の話だったのか分からないと言われかねないだろう。



 ああ、無駄のない適度な長さの、キリリと締まった文章を書いてみたいものだ。今の私の切なる願いだ。無い知識を探ってみても頭の引き出しを覗いてみても、なあんにも無しの空っぽである。無駄だ無駄だと、半ばやけ気味にぼんやり遠くを眺めていると、名前?そういえばアハハ・・、と50年以上も昔のつまらない思い出が蘇った。


 姉の友達に梅林寺さんという名前の人がいた。何かの会での自己紹介で、自分の番がまわってくると、優しくて朗らかで楽しい梅林寺さんが言った。

「私の名前は梅林寺〇〇です」と、ここまでは極めて平凡だがその後がとてもおかしかった。


 「梅林寺のばいは梅毒のばい、淋病のりん、いぼ痔のじ、それで、ばいりんじ・・」

 彼女がやんやの喝采をあびたその会の話は、姉の更なる解説で面白さを増し、その会がどれほど楽しかったかを教えてくれた。それを聞いた母は大笑いしたけれども「なんとまあ、若い女の人が・・」と苦い顔にもなった。


  その場にいたちょいとお馬鹿な私は一緒に大笑いをし、そして何故かいたく感動した。そのせいか何年たってもそのユニークなキャッチフレーズは、私の頭の片隅に住み着いてしまった。

 ある時、学生仲間の親睦会で自己紹介の時、 「苗字は〇〇、名前は貴く美しい子と書きます。」

と言うと、あちらこちらで「えっ、とおといってどんな字?」「貴婦人の貴じゃない?」「「高貴の貴」「貴重の貴でしょ」の声が聞こえてきた。


 貴い、貴婦人、貴重などの言葉が何ともくすぐったく、戸惑ってしまった私。名は体を表すといいますから、それって如何なものかと自分に聞いてみた。慌てふためいた私はとっさに自虐の意味を込めて

 「え~っと訂正します。字は、貴いとか美しいとかなんてとんでもない、きもち悪いのき、そしてみっともないのみ、こにくらしいのこ、できみこでお願いします」 ・・と。

 「なあに、気持ち悪いってどんな字? ええっ、なんて字?・・」

 

 一瞬シーンと、そしてザワザワしだして、皆の目が冷ややかになった。私は冷や汗タラリ、どころかダラダラで穴があったら入りたかった。頭の隅にいた梅林寺さんに助けを求めたが、つかみはOKとはならなかった。  


 ガーンと思いっきり叩かれた気分だったが、暫くすると皆がゲラゲラ笑いだし、「やっぱりつるらしいや」との声で無事に収まった。

これでは他人の話を聞きかじり、自分もやってみて大しくじりをしてしまう与太郎と同じじゃないか。付け焼刃はろくなことにはならないという、教訓となった。

 


 こんな馬鹿な失敗を何度も経て今日に至っている私だが、更に調子にのってローバと名乗ったお調子者の私は、性懲りもなく今もシラケたことをやってはいないだろうか。

「ローバの充日」は時折自分を見つめることになれる、ちょっとばかり意義のあるものになれますように、と切に願った今日の日でありました。




  ***梅林寺さんなんてとても美しくステキな名前を、汚してしまったようで申し訳ありません。どうかこのエピソードを、私のように頭の片隅に置かれませんように、直ちにお忘れになっていただけたら幸いです。***

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