第44話 【森の悪魔】ペー・ジ・ガハッファ(O Pé de Garrafa)

 ペー・ジ・ガハッファは直訳すると、「瓶の足」となる。

 ペー・ジ・ガハッファは人型の妖怪であるが、全身が毛でおおわれていて、一本足である。この妖怪が目撃された場所には、丸い足跡が残されており、それが大きなびんの底を押し付けたかのような形状であることから、この妖怪の足は太くて丸いとされている。これが「びんの足」という名前の由来である。


 この妖怪は森にむ妖怪で、森に入ってきたハンターに襲いかかったということだが、どのようにしてハンターを襲うのかは誰にも分からない。なぜなら、襲われた者は行方不明になってしまい、死体すら発見されないことが多いからだ。また、かろうじて命からがら逃げ出した者であっても、恐怖のあまりに気が変になって、幻聴げんちょう幻覚げんかくに襲われ、まともに話しができなくなってしまうという。ひとたび、この妖怪に出会ってしまったら、死を覚悟する必要があるのだ。


 さて、ブラジルでは、足が丸いということは悪魔の印とされている。ペー・ジ・ガハッファだけでなく、ラバトゥチやカペロボなども足が丸く、人を襲う習性をもっている。


 この妖怪を最初に研究したのは、カブラウ・アウフレッド・ド・バーリ (Cabral, Alfredo do Vale) である。彼によると、ペー・ジ・ガハッファはピアウイ州の森にカイポーラとともに棲んでいるそうだ。バーリは、この妖怪の足跡を発見したことがあるそうで、そのときに見た足跡から考えるに、ペー・ジ・ガハッファは相当体が大きいということだ。なお、バーリは、妖怪カベッサ・ジ・クイアについても記録しているリオ・デ・ジャネイロの民俗学者である。

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